咳嗽反射時の気道血管床における反射効果
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概要
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咳嗽反射に伴う気管気管支血管床の反応をイヌ気管血管および気管支動脈血液灌流標本を用いて,気管気管支平滑筋の反応とともに検討した.咳嗽反射は上部気管粘膜あるいは右上喉頭神経切断中枢端の電気刺激により誘発した.気管血管血液灌流標本において,上部気管粘膜の電気刺激による咳嗽反射に伴い,気管平滑筋の収縮気管血管の拡張がみられた.これらの反応に対して,atrophine 10〜300μg i.a. 適用により気管平滑筋の収縮は抑制されたが,気管血管の拡張は影響されなかった.右上喉頭神経切断中枢端の電気刺激による咳嗽反射時にも同様の反応がみられた.気管平滑筋の収縮は両側迷走神経の切断により消失したが,気管血管の拡張反応は影響されず,さらに左上喉頭神経の切断によっても影響されなかった。一方,気管支動脈血液灌流標本において,人工呼吸下に気管粘膜の電気刺激により,気管平滑筋の収縮反応がみられたが,気管支動脈の拡張反応は,ほとんど認められなかった.慢性的に気管支動脈へカニューレを留置した標本犬では,咳嗽反射に伴って気管支動脈の拡張反応が認められた.また,人工呼吸下に50〜200ml の空気負荷により気管支内圧を上昇させると気管支動脈の拡張反応が認められた.この拡張反応は atropine 100μg/min,benzonatateo.85mg/min のそれぞれ5分間 i.a. 適用および両側迷走神経切断でもほとんど影響されなかった.以上のことから,咳嗽反射に伴う気管気管支平滑筋の収縮は,一次的反射効果であり,気管気管支血管の拡張は平滑筋の収縮時に血流量を多くするための生理的な防御機構と思われるが,咳嗽反射時の気道内圧上昇による二次的反射効果であることが示唆される.
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