塩化メチル水銀の毒性(II) : 急性および慢性発症時の水銀の生体内分布
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概要
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塩化メチル水銀混入飼料により低用量(16ppm),中等量(30ppm)および高用量(50ppm)をマウスに連続適用し,急性および慢性発症時の血液(血球と血漿を分離)中ならびに諸臓器内水銀量を著者らの開発した分析装置で定量し,分布比について検討した.雌マウスにみられる塩化メチル水銀中毒発現の時期が早く,またその程度が強いのは血液のみならず脳をはじめとした臓器内水銀蓄積量の性差に主因があり,いずれの臓器においても雌に高い水銀量を認めた.血球内水銀量は経日的に漸増し,諸臓器内水銀蓄積パターンとよく一致した.血漿中含量は初期からplateau状態となり発症にともなう特異性はみられなかった.発症時点の血球および脳内水銀量はchronic stageになるに従いcritical concentrationは低下する傾向にあり,16ppmでは50ppmのほぼ半分の水銀レベルで発症した.発症時点の脳内水銀量に対する血液ならびに諸臓器内水銀量の分布比をみると,脳/血液比に変化がみられ,慢性発症になるに従い比の上昇傾向があった.結論的に塩化メチル水銀中毒の発現は適用期間と血球内含量から脳内含量を予測し,発症を予知することが可能である.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
-
柳浦 才三
星薬科大学薬理学教室
-
今枝 一男
星薬科大学
-
大沢 敬子
星薬科大学
-
今枝 一男
星薬科大学薬品分析化学教室
-
大沢 敬子
星薬科大学薬品分析化学教室
-
柳浦 才三
星薬科大学
-
田頭 栄治郎
星薬科大学薬理学教室
-
田頭 栄治郎
星薬科大学 薬理
-
浦野 知子
星薬科大学薬理学教室
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