アルミはく薄層を用いる水銀の定量

概要

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微量の水銀(I),(II)を含む試料溶液を,ジチゾン抽出し,水銀-ジチゾン錯体をアルミはく薄層を用い展開した.薄層表面が外のものに比べはがれにくく損傷を生じない利点がある.それを利用し水銀-ジチゾン錯体のスポット部分を切り抜いて,直接加熱し水銀を気化させることを試みた.この原子状水銀を冷原子吸光法へ適用する水銀定量法の基礎的条件について検討した.移動相は四塩化炭素,ベンゼン,ジクロロエタン混合のものが分離良好であり,R_f値は約0.73であった.薄層で展開する場合の水銀-ジチゾン錯体クロロホルム溶液中のジチゾン濃度が水銀25ngに対して(0.05〜0.1)%,すなわち水銀:ジチゾンがモル比で1:8〜1:16のとき,テーリングのないまとまりのあるスポットが得られた.水銀-ジチゾン錯体の薄層上での安定性は約1時間30分であった.銀(I),銅(II)イオンは影響せず,パラジウム(II)は負の干渉があった.この方法における検量線は,(4〜80)ngの範囲で良好な直線性を示した.本定量法による水銀回収率は,4種類の水銀化合物単独でそれぞれ約99.55%以上であり,3種類混合した場合は99.52%で変動係数は1.6%であった.応用として水銀を含まない河川水に水銀化合物を添加した試料を分析した.
1980-07-05