正常ラットと薬物依存経験ラットにみられる身体依存形成能の差異
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概要
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SD系ラット雄,雌各10匹を一群とし,phenobarbital,chlordiazepoxide,diazepamおよびmorphine・HClを用いて正常ラット(5週令)と薬物依存経験ラットにおける依存獲得時期,休薬による体重の減少率および禁断現象の持続期間について比較検討した.薬物はすべて初回量5mg/kg(1日1回,p.o.)を7日間強制適用後1日休薬し,休薬後用量を10mg/kgに倍量して7日間適用後1日休薬した.この適用スケジュールでmorphineは40mg/kg,他3薬物は160mg/kgまで漸次増量した.最終用量適用後一律に16日間連続休薬した(EXP.1).体重が休薬前のレベルに回復したのちEXP.1と同じ薬物を同じ適用スケジュールでmorphineは40mg/kg,他3薬は80mg/kgまで漸増適用後一律に16日間連続休薬し(EXP.II),再三,Exp.IIと同じ適用スケジュールで各薬物の依存試験を行なった(EXP.II,III).その結果,各薬物依存経験ラットは未経験ラットに比較し,1)依存獲得時期が漸次早まり,2)休薬による体重の減少持続期間も長くなる.3)しかし,体重の減少率にはほとんど差がみられない.4)また,1日の総摂飼量減少の持続期間も,未経験ラット時の場合と変らなかった,これらの結果より薬物依存獲得時期の相違は薬物依存にみられる一つの特徴を表わし,また依存形成能の強弱に関与する因子であることを示唆し,従来より用いられている休薬による体重の減少率と禁断症状の持続期間と同時に,ラットにおける薬物依存形成能の評価に加味すべきものと思う.特に小動物を用いたbarbiturates,tranquilizersおよびsedative-hypnotic drugsの依存性試験には直接連続適用法は困難が多いとされ<SUP>1)</SUP>,もっぱらsingle dose suppression test,あるいはsubstitution testが多く用いられている現在,本実験にみられたごとく,依存獲得時期の比較検討を行なうことはscreening testに大切であり,また有効なものと思われる.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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