咳漱反射の薬理学的研究―特に化学的刺激による咳様反射について―
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1,1-dimethyl-4-phenylpiperazinium iodide(DMPP)適用によって誘発される咳様反射を応用して,咳漱反射の機序を検索する目的でイヌを用いて実験した.α-chloralose麻酔下において,DMPP2〜10μg/kg i.v.,1〜5μg/kg頸動脈内適用(i.a.)のほか,lobeline 100〜400μg/kg i.v.,nicotine 5〜20μg/kg i.v.の適用によっても咳様反射が誘発された.Histamine 10〜20μg/kg i.v.適用では呼吸数の増加がみられたが,咳様反射は認められなかった.反復適用の場合,DMPPはtachphylaxisは認められないが,lobelineとnicotineには認められた.呼吸抵抗は,DMPP i.v.適用では変化しなかったが,DMPP i.a.,lobeline,nicotineおよびhistamine i.v.適用では増加した.DMPP i.v.適用による咳様反射は,morphine,codeine,oxymethebanol,picoperidamine,piclobetolにより抑制され,そのED50は気管粘膜の電気的刺激法により誘発された咳嗽に対するED50よりも,1.6〜10倍高用量であった.また,DMPPによる咳様反射は,benzonatateにより軽度の抑制,hexamethoniumにより著明な抑制,両側迷走神経切断および,両側頸動脈洞神経切断により消失した.これに反し,isoproterenol,ephedrine,atropine,propranololは,DMPP適用による咳様反射に対して影響がみられなかった.以上,DMPP適用による咳様反射に対する薬物の影響から,この反射は気管粘膜の電気的刺激法による咳漱の誘発機序とはかなり異なり,頸動脈体の化学受容器を介する呼吸中枢性の作用であると考えられる.今後,両者の方法を用いて鎮咳薬の作用態度を追求することによって,中枢性か末梢性かを判別する一手段として応用できると考えられる.
著者
関連論文
- l-1, 4-Dimethyl-10-hydroxy-2, 3, 4, 5, 6, 7,-hexahydro-1, 6-methano-1H-4-benzazonine hydrobromide (l-ST-2121)のラットにおける身体依存性試験
- 29-A3-14-3 調剤薬局でのチームアプローチ糖尿病患者への低血糖指導からの考察(調剤・服薬指導・薬剤管理指導,社会の期待に応える医療薬学を)
- 1G1115 モルモットのアレルギー性結膜炎に及ぼすディーゼル排気(DE)曝露の影響
- 気管支喘息患児におけるTheophylline及びその代謝物血中濃度測定の意義
- 気管支喘息患児におけるTheophylline体内動態 : 外来において実施可能な簡単なモニタリング計画およびその適用
- ドパミンD_2作動薬のウサギ眼圧に及ぼす影響
- 130 気道の薬理学的研究(第181報) : ラット気道過敏性の際のコリン作動性神経のopioidによる調節の変化
- N-Alkylaminoephedrine類の合成と気管支平滑筋に対する影響
- 12-4-E5 アレルギー性結膜炎における一酸化窒素 (NO) およびスーパーオキシドアニオンの役割
- 授乳期におけるEthanol連続投与によるラット中枢神経系機能変化
- 塩化メチル水銀の毒性(II) : 急性および慢性発症時の水銀の生体内分布
- 塩化メチル水銀の毒性(1) : 運動協調障害と脳内水銀含量との相関性
- 塩化メチル水銀中毒におよぼすmethamphetamineの影響 (第6回毒作用研究会記事)
- Morphineの依存と嗜好性(III)MorphineとCocaineの併用による自発的薬物摂取の強化効果および交差自発的摂取試験
- 生体内消失の早い薬物についての薬物依存性の研究
- Morphineの依存性と嗜好性(II) ―morphine,phenobarbitalおよびdiazepamの相互比較―
- 正常ラットと薬物依存経験ラットにみられる身体依存形成能の差異
- Morphine連続適用による雄性ラット尿中低分子蛋白の排泄減少における内分泌系の関与 : 特に,血清中Testosterone,Corticosterone,およびThyroxineとの関連性
- 「クマザサエキス」の血管平滑筋弛緩作用
- 気道の一次体液性免疫に及ぼすCodeineおよびMorphineの影響
- BrovanexineおよびBR227連続適用によるラット気管腺分泌活性の変化
- Morphine依存ラットの血漿中Corticosterone濃度
- Ursodeoxycholic acid の胆汁脂質分泌に及ぼす影響
- ラットにおけるChenodeoxycholic acidとDehydrocholic acidの利胆特性
- Brovanexineの気管分泌細胞活性に及ぼす影響
- Glyceryl guaiacolateの気管腺分泌促進作用
- 平滑筋作用薬の薬理学的検索(第1報)
- マウスにおける薬物混入飼料法を用いたMorphine型薬物の身体依存
- 数種鎮咳薬の呼吸および咳漱に対する反応差異
- 呼吸作用薬の咳嗽反射に及ぼす影響
- Methanobenzazonine(2,3,4,5,6,7-hexahydro-1,6-methano-1H-4-benzazonine)誘導体の咳嗽反射ならびに呼吸に及ぼす影響
- Chemical mediatorによる気道収縮に及ぼす迷走神経の影響
- 咳嗽反射時における横隔神経遠心性発射活動の計量的解析
- 気管分泌細胞の実験病理学的モデルに対する Bromhexine の効果
- 初期日本神経精神薬理学会の辿った道のり
- 「薬剤師」の呼称を「薬師」に改めよう
- 第4回眼薬理研究会
- 咳の薬理
- 医薬品の安全性について想う(医薬品の安全性を考える)
- 依存性試験法(DAF法)の開発
- 日本薬剤師会の衛生薬学カリキュラム案
- 麦角アルカロイドの臨床薬理 : 最近の話題
- 薬学教育と薬剤師
- 第7回国際薬理学会
- 薬学の向うべき道("薬学の基礎"の概念)
- 新規抗喘息薬Flutropium bromideのMediator遊離抑制作用及びMediator拮抗作用
- 鎮痙薬Oxybutynin hydrochlorideの心血管系に対する作用
- 視床下部に起因した情動行動の条件づけ(その2) ―2,3薬物の葛藤状況の行動モデルに対する作用検索―
- 視床下部に起因した情動行動と条件づけ(その1) : ウサギの行動モデルとその解析法
- S-Carboxymethylcysteine処置による気管腺含有糖蛋白の組成変化
- 咳嗽反射時の呼吸中枢神経機構に及ぼす鎮咳薬の影響
- 気道過敏性におけるキニンおよびタキキニンの関与
- 「クマザサエキス」の抗炎症作用
- Brovanexineの十二指腸内適用によるイヌ気管分泌細胞活性の経時的変化
- 鎮咳薬の作用に及ぼす Naloxone の影響
- Ipratropium Bromide (Sch1000) の抗アレルギー性喘息効果
- 咳嗽反射に及ぼす末梢気道反応の影響
- イチジク葉の血圧下降成分
- 咳嗽反射時の気道血管床における反射効果
- 咳漱反射の薬理学的研究―特に化学的刺激による咳様反射について―
- Morphine混入飼料適用による依存形成の時間薬理学的検討
- Ursodeoxycholic acidの胆汁分泌,胆汁成分組成におよぼす影響 ―Chenodeoxycholic acid,Dehydrocholic acidとの比較において―
- 胆道系のアドレナリン受容体と自律神経支配機構
- 浅田飴エキスの鎮咳および去疾作用
- 「クマザサエキス」の抗アレルギー作用
- タイトル無し
- 実験的高脂血症に対するAlfalfa mealの影響
- 気管拡張薬の作用機作に関する研究
- Morphineの依存と嗜好性-1-NaiveラットとMorphine経験ラットのMorphine嗜好性について
- MorphineおよびPhenobarbital依存と赤血球膜浸透圧抵抗について
- Morphineに対するPreferenceに及ぼすMethamphetamineの影響
- ラットにおける薬物依存の研究 Substitution testおよびラット体重の経時変化について
- Morphine依存ラットに対するMetyraponeの効果
- 1,3-diphenyl-5-(2-dimethyl amino propionamide)pyrazole塩酸塩(AP-14)の薬理学的研究特に中枢神経に対する作用を中心として
- Morphine混入飼料適用によるマウスの自発運動変化
- Morphine混入飼料適用マウスにおけるMethamphetamineの自発運動変化
- ブタ膵KallikreinおよびKallidinの各種臓器循環および心臓に対する作用
- 視床下部に起因した情動行動の条件づけ-4-条件回避・逃避行動に対する2,3薬物の作用
- 咳嗽反射の薬理学的研究
- 視床下部に起因した情動行動の条件づけ-3-ウサギの視床下部刺激による学習行動
- Bromhexine処置による気管杯細胞,気管腺の組織学的,組織化学的変化
- 諸種薬物の視床下部に関する薬理学的検索-3-特にウサギ視床下部電気刺激時の情動行動に対する作用
- 気道分泌物測定についての薬理学的考察
- Ifenprodilのラットにおける身体依存性試験
- Methamphetamine誘発Anorexiaに対するQuinineの効果
- Morphineに対する選択摂取行動の量的評価
- タイトル無し
- タイトル無し
- EFFECTS OF SOME DRUGS ON THE BILE FLOW
- タイトル無し
- 視床下部に作用する薬物の薬理学的検索-2-特にウサギ視床下部電激時の血圧,呼吸,脳波に影響をおよぼす2,3鎮痛薬の作用態度
- 視床下部に作用する薬物の薬理学的検索-1-特にウサギ視床下部電激による疾走運動に影響をおよぼす2,3鎮痛薬の検索について
- タイトル無し
- タイトル無し
- タイトル無し
- EXTRINSIC AUTONOMIC NERVOUS REGULATION OF THE BILIARY SYSTEM IN DOGS