Glyceryl guaiacolateの気管腺分泌促進作用
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概要
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臨床上,鎮咳去痰薬として使用されているglyceryl guaiacolateの去痰作用およびその作用機序を検索する目的で,気管杯細胞,気管腺の分泌活性に及ぼす影響およびこれら分泌細胞含有糖蛋白(GP)動態に及ぼす影響について組織学的,組織化学的面から検討を行なった.体重9〜13kgの雄性雑犬の摘出気管をHanks液中に於いてglyceryl guaiacolate(10<SUP>-7</SUP>〜10<SUP>-4</SUP>M)で30分間処置した.その後,光顕用気管組織標本を作製し,alcian blue (pH2.5)-periodic acid schiff[AB(pH2.5)/PAS]染色,AB(pH 1.0)/PAS染色の2重染色を施した.これを150倍の顕微鏡写真にし,組織学的・組織化学的指標に従って定量的に解析を行なった.1)杯細胞に及ぼす影響:染色陽性総杯細胞数および杯細胞stain indexに何ら変化は認められなかった.2)気管腺に及ぼす影響:気管腺腺房内径および固有層の厚さに対する腺房内径の比率は,濃度に依存して有意な増加を,また,腺房の厚さは逆に減少を生じた.AB(pH2.5)/PAS染色標本に於いて,stain index Blueを呈する酸性糖蛋白(AGP)高含有気管腺腺房細胞数は著明に減少し,stain index Purpleを示すAGP低含有細胞数は相対的に増加した.stain index Redを示す中性糖蛋白(NGP)含有細胞数には変化が認められなかった.さらに,AB(pH1.0)/PAS染色標本に於いて,stain index Blueを示す硫酸化糖蛋白(SGP)高含有細胞数の減少が認められた.3)インキュベーション液中の2,3高分子成分の変化:インキュベーション液中の総糖質,蛋白質およびN-acetylhexosamine濃度は,いずれもglyceryl guaiacolateの濃度に依存して増加した.以上より,glyceryl guaiacolateは杯細胞の分泌機能に対しては何ら影響を示さないが,気管腺の分泌機能には著明な促進作用を示す.さらに,この気管腺の分泌機能促進作用は,粘液(主としてAGP)の細胞からの排出亢進に因る事が明らかとなった.また,本薬物は,分泌細胞内に含有されるGPの質には影響を及ぼさない事も示された.
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