マレーシア産ヌリトラノオ(チャセンシダ科)のフラボノイドの新化学型(西太平洋地域の生物多様性インベントリー 第2期:インドネシア及びマレーシア)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
マレーシアのキナバル山周辺で採集された7個体のヌリトラノオのフラボノイドが分析された.それらのフラボノイド組成から,2種類の化学型の存在が明らかとなった.これらの化学型に含まれるフラボノイドを各種クロマトグラフィーで分離し,紫外可視吸収スペクトル(UV),液体クロマトグラフ-質量スペクトル(LC-MS),核磁気共鳴スペクトル(NMR)などを用いて同定を行った.その結果,ひとつの化学型(H-型)に含まれるフラボノイドはフラボンのO-配糖体であるapigenin 7-O-rhamnosyl-(1→4)-rhamnoside (1)とapigenin 7-O-rhamnosyl-(1→4)-rhamnoside-4'-O-rhamnoside (2),およびC-グリコシルフラボンのvicenin-2 (6)とlucenin-2 (7)であった.これらのうち,前2者はこれまで自然界で報告されたことのない新規のフラボノイドであった.一方,他の化学型(I-型)に含まれていたフラボノイドはフラボノール配糖体のkaempferol 3-O-glucosylrhamnoside (3)とkaempferol3,4'-O-glycoside (4),それにフラボン配糖体のgenkwanin4'-O-glucosyl-(1→3)-rhamnoside (5)であった.なお,H-型に含まれていた2種類のC-グリコシルフラボンは,I-型にも共通に含まれていた.ヌリトラノオで発生する化学型については,これまでに日本産のものについて7種類,ネパール産のものについて1種類が報告されており,マレーシア産の2種類の化学型は,これらのいずれにも属さないものであることが判明した.
著者
-
岩科 司
Department of Botany, National Museum of Nature and Science
-
松本 定
Department of Botany, National Museum of Nature and Science
-
中村 武久
Tokyo University of Agriculture
-
國府方 吾郎
Department of Botany, National Museum of Nature and Science
-
Suleiman Monica
Institute for Tropical Biology and Conservation, Universiti Malaysia Sabah
-
Said Idoris
Institute for Tropical Biology and Conservation, Universiti Malaysia Sabah
-
国府方 吾郎
国立科学博物館筑波研究資料センター筑波実験植物園
-
松本 定
Department Of Botany National Museum Of Nature And Science
-
岩科 司
国立科博・筑波実験植物園
-
Said Idoris
Institute For Tropical Biology And Conservation Universiti Malaysia Sabah
-
國府方 吾郎
Department Of Botany National Museum Of Nature And Science
-
Suleiman Monica
Institute For Tropical Biology & Conservation Universiti Malaysia Sabah
-
岩科 司
国立科学博物館 筑波研究資料センター 筑波実験植物園
-
岩科 司
Department Of Botany National Science Museum 4-1-1 Amakubo
-
岩科 司
国立科学博物館・筑波研究資料センター
-
松本 定
科学博物館 筑波研究資料セ
-
松本 定
国立科学博物館筑波実験植物園
関連論文
- ブータンのシダ植物調査
- 下田市須崎産維管束植物の新分類群及び興味ある分類群
- ミズキ属植物の葉に含まれるフラボノイド配糖体IV.ミズキ属におけるフラボノイドの分布
- 柱サボテン亜科におけるフラボノール色素の分布 : 配糖体およびその遊離型について
- マレーシア産ヌリトラノオ(チャセンシダ科)のフラボノイドの新化学型(西太平洋地域の生物多様性インベントリー 第2期:インドネシア及びマレーシア)
- フィリピンと台湾に分布するオカトラノオ属2種の外部形態と染色体数(西太平洋地域の生物多様性インベントリー 第2期:インドネシア及びマレーシア)
- 台湾産コウジモロコシ(サクラソウ科)の分類学的再検討
- 台湾産コウジモロコシ(サクラソウ科)の分類学的再検討(西太平洋における島弧の自然史科学的総合研究 第1期:台湾およびフィリピン)
- ロシアにおいて採集された種子植物の標本リスト
- 日本産ヨモギ属二倍体種2種における染色体長サイズの違い
- ソテツ属2種における染色体形質
- ソテツ属2種における染色体数と核型
- Lepidozamia属(ザミア科,ソテツ目)2種における染色体数及び核型の比較研究
- シオン属(キク科)3節の二倍体種における染色体上リボゾーマルDNAの分布パターン
- 花冠裂片数の変異に基づくヘツカリンドウ(リンドウ科)の2品種
- 40. フラボノイドの構造とラット網膜神経節細胞酸化ストレスに対する神経保護作用
- バヌアツのコケシノブ科植物 (バヌアツ植物相の研究 第2集)
- 2000年および2001年にバヌアツにおいて採集したシダ植物(コケシノブ科を除く)のリスト (バヌアツ植物相の研究 第2集)
- 2000年および2001年にバヌアツにおいて採集した被子植物の押し葉標本リスト (バヌアツ植物相の研究 第2集)
- 1996年および1997年にグランドテール島(ニューカレドニア)とビチレブ島(フィジー)で採集した〓葉標本および生品リスト (バヌアツ植物相の研究)
- 1996年および1997年にバヌアツにおいて採集したシダ植物のリスト (バヌアツ植物相の研究)
- 1996年および1997年にバヌアツにおいて採集した〓葉標本リスト(ラン科植物を除く) (バヌアツ植物相の研究)
- サボテン科植物Hylocereus undatusに含まれるフラボノイドのアレロパシー作用(第37回大会研究発表抄録)
- 57 サボテン科植物 Hylocereus undatus に含まれるフラボノイドのアレロパシー作用
- 日本産アザミ属植物から分離したフラボン体の5-グルコシドの特性と同定
- 日本産アザミ属植物の葉から分離されたフラボノイド成分の同定とその特殊性
- 下田市須崎で見出された新しい,または興味ある被子植物(英文)
- 琉球列島産及び台湾産ショウジョウバカマ属の染色体比較
- 2種の日本産シュウカイドウ属植物(シュウカイドウ科)の葉に含まれるフラボノイド
- ソテツ2科(スタンゲリア科・ザミア科)における葉緑体DNAを用いた系統解析
- 西太平洋地域の生物多様性インベントリー第2期概要
- 日本産チゴユリ属(ユリ科)2種に見られる染色体上45S Ribosomal DNA部位
- 台湾及びフィリピン産Lobelia nummularia(キキョウ科)の染色体について
- 相模灘沿岸におけるワダンの系統分類,生物地理に関する研究
- 西太平洋における島弧の自然史科学的総合研究概要
- 日本産ナガミカズラ属の再発見
- Lobelia fulgens'Queen Victoria'における染色体上rDNA部位と付随伴の異形性
- アマミアワゴケ(アカネ科)の核形態及び核型に関する研究
- 天山山脈固有の植物 Schmalhausenia nidulans (キク科) のフラボノイド
- カザグルマ(キンポウゲ科)における花色とフラボノイド変異
- 伊豆半島産アマギカンアオイ3変種のフラボノイド化合物による化学分類学的研究
- 海岸型および内陸型ツリガネニンジンのフラボノイド組成と相対量の変異
- ユズノハカズラ(サトイモ科)からのフラボンO-およびC-配糖体
- ハマジンチョウ科で最北に分布するハマジンチョウの葉と花に含まれるフラボノイド
- オキナワギクとアズマギクの染色体上リボゾーマルDNA部位パターンの比較
- 顕微分光光度法による液胞および色素体の吸収スペクトルと含有色素成分の識別とについて
- 黄色および白色系クレマチス品種のフラボノール配糖体とその花色への貢献
- 安定的な分類学的指標としてのアカウキクサ属のルテオリニジン5-O-グルコシド
- 伊豆須崎の維管束植物相
- 相模灘およびその沿岸域における動植物相の経時的比較に基づく環境変遷の解明 : III.沿岸の生物および土壌
- 相模灘およびその沿岸域における動植物相の経時的比較に基づく環境変遷の解明 : II.海洋生物(動物(節足動物〜脊索動物))
- 相模灘およびその沿岸域における動植物相の経時的比較に基づく環境変遷の解明 : I.海洋生物(褐藻および動物(海綿動物〜環形動物))
- オニヤブソテツ(広義)に含まれるフラボノイドの変異
- 伊豆・三浦・房総半島産ハイホラゴケ群(コケシノブ科)の多様性と網状進化
- 下田市須崎で見出された維管束植物の新種内分類群と雑種
- 海岸型および内陸型ツリガネニンジンのフラボノイド組成と相対量の変異
- オニヤブソテツ(広義)に含まれるフラボノイドの変異
- 下田市須崎の帰化植物
- 日本列島におけるオニヤブソテツ複合種(オシダ科)の繁殖様式と種分化に関する種生態学的研究
- 1996年および1997年にバヌアツにおいて採集した植物生品リスト (バヌアツ植物相の研究)
- ボルネオ(マレーシア)のキナバル山の蘚類(西太平洋地域の生物多様性インベントリー 第2期:インドネシア及びマレーシア)
- ナデシコ科植物の数種に含まれるC-グリコシルフラボンとアントシアニンの定性
- タロイモの葉に含まれるフラボノイド化合物の分離と同定
- ニューカレドニア産Agatea violaris (スミレ科)の染色体数と核型
- 培養地衣体の成長および地衣成分合成に及ぼす水分含量の効果
- 地衣類ハナサルオガセ(Usnea orientalis)培養菌の産生する新規ジベンゾフラン
- ネパール産ミズキ属(Cornus L.)ノート
- ベタレイン色素を含む植物,ヨウシュヤマゴボウ(ヤマゴボウ科)の葉のフラボノイド
- アヤメ属植物のフラボノイド : その構造,分布,機能(総説)
- ハチジョウアザミの葉に含まれるフラボノイド
- カキツバタの花に含まれるフラボノイド成分
- カナダヒオウギアヤメのポリフェノール成分の定性並びに日本産ヒオウギアヤメ3変種との化学分類学的比較
- ヒオウギアヤメとカキツバタの花に含まれるフラボノイドの比較分析
- ヒメヒオオギズイセン(Crocosmia×crocosmiiflora)の花被におけるアントシアニンとその他の色素成分 : 顕微分光法による判別および同定
- 幼葉分裂組織を用いたヤムイモ(Dioscorea alata L.)の染色体観察
- Strongylodon lucidusとS. macrobotrysの染色体数と核形の比較 (バヌアツ植物相の研究)
- Colocasia属内及びその近縁属における染色体上rDNA位置の比較研究
- イロハモミジの紅葉時におけるアントシアニンとその他のフラボノイドの量的変動
- カナダサイシン(ウマノスズクサ科)の葉に含まれるカルコンおよびフラボノール配糖体
- ヒスイカズラの花弁における青緑色の発現について
- ハンカチノキ(ハンカチノキ科)の半透明の苞葉に含まれる紫外線吸収物質
- 虫えいの組織学的観察およびアントシアニン組成の調査
- ベタレイン色素を合成する植物の科におけるフラボノイドとその分布(総説)
- ロウバイに含まれる花色素としてのアントシアニンとフラボノール
- ソテツ類植物にみられる蛍光バンドの比較
- バタン島産及び西表島産ミズビワソウ(イワタバコ科)の染色体学的比較研究
- 北海道羅臼岳産シダ植物の植物地理学的研究
- 皇居吹上御苑で栽培されているリュウノウギク(キク科)4個体における染色体学的形質の比較研究
- 高速液体クロマトグラフィーによる紅葉のクリサンテミンおよびイデインの検出とその分布
- パキスタン産エビガラシダ属 (Cheilanthes) 植物における内生フラボノイドの種間変異と C. dalhousiae のフラボノイド配糖体
- Five New Species of Plagiostachys (Zingiberaceae) from Borneo
- 鹿児島県奄美大島におけるオニヤブソテツ(オシダ科)の生殖型, 分布, 生育地, および外部形態の変化
- 日本産ヤブソテツ属の染色体数と生殖様式
- Musa beccarii (Musaceae) Varieties in Sabah, Northern Borneo
- Mastixia trichotoma,キジュ,ウリノキ,シマウリノキおよびハンカチノキの葉に含まれるフラボノイドとミズキ属植物のものとの類似性
- ラン科植物のフラボノイド : その花色への貢献と分布
- ミズキ科植物のフラボノイドとその分布
- ミズキ属植物の葉に含まれるフラボノイド配糖体 : III. 3種のヒマラヤ産ミズキ属植物のフラボノイド
- ミズキ属植物の葉に含まれるフラボノイド配糖体 : II.ゴゼンタチバナおよびエゾゴゼンタチバナのフラボノイド
- ミズキ属(Cornus)植物の葉に含まれるフラボノイド配糖体I.ミズキ,クマノミズキ,C. darvasicaおよびC. drummondiiのフラボノイド