ミズキ属植物の葉に含まれるフラボノイド配糖体IV.ミズキ属におけるフラボノイドの分布
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概要
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25種の今まで報告のなかったものも含めた33種のミズキ属(Cornus)植物の葉に含まれるフラボノイド配糖体の組成が調査された。1種類のmyricetin配糖体を除くすべてがquercetinとkaempferolをアグリコンとする配糖体で,その多くはグルコース,ガラクトース,ラムノース,キシロースあるいはアラビノースがモノシドまたはビオシドとして3-位の水酸基に結合したものであった。これらのフラボノール3-配糖体は今回分析の行われたすべての種で検出された一方で,中国産の常緑の2種,C. multinervosaとC. hongkongensis subsp. hongkongensis (Benthamia亜属)およびアメリカ産のハナミズキ(Cynoxylon亜属)からは3-位以外に7-位にも糖を結合するフラボノール3,7-配糖体が検出された。最も多くの種を分析したKraniopsis亜属ではすべての種がフラボノール3-配糖体を基本としているが,その中でC. amomum, C. asperifolia, C. glabrata, C. hemsleyiおよびC. horseyiの5種からはグルコース,ガラクトース,ラムノース,キシロース,アラビノース,それにグルクロン酸のquercetin 3-O-モノシドがすべて検出されるばかりでなく,従来,ミズキ属では報告されていなかったmyricetinの配糖体(myricetin 3-O-rhamnoside)や没食子酸でアシル化されていると推定されるquercetinの配糖体,さらにはこの5種に特有のフラボノイドではないと考えられる未知の物質も存在することで他とは区別された。しかしながら,総じてミズキ属では検出されたほとんどのフラボノイドがquercetinとkaempferolを基本とした配糖体であることなどから,その化学分類学的な差異は小さいと考えられ,今後はハナイカダ(Helwingia)やアオキ(Aucuba)属などの他のミズキ科植物や関連する他の科,例えばウリノキ科,ガリア科,ハンカチノキ科,ヌマミズキ科などとミズキ属との類縁関係を化学分類学的に解明する方向に向かわなければならないと考えられた。
- 1994-12-15
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