海岸型および内陸型ツリガネニンジンのフラボノイド組成と相対量の変異
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概要
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ツリガネニンジン(Adenophora triphylla var. japonica,キキョウ科)の葉に含まれるフラボノイドの組成と相対量を,海岸型と内陸型の個体群とで比較した。その結果を踏まえてフラボノイドが海岸における植物の紫外線(280〜315nm; UV-B)防御機構にどのような役割を果たすのかを考察した。フラボノイド組成は海岸型と内陸型でほぼ一致した。すなわち,6種類のフラボン,luteolin 7-O-glucoside (1), luteolin 7-O-diglucoside (2), luteolin 7,4'-di-O-glucoside (acylated?) (3), luteolin 7,4'-di-O-glucoside (4), luteolin (5)およびvicenin-2 (8)と2種類のフラボノール,quercetin 3-O-glucoside (6)およびquercetin 3-O-diglucoside (7)が分離・同定された。高速液体クロマトグラフィーによる比較の結果,luteolin 7-O-glucosideとluteolin 7,4'-di-O-glucoside (acylated?)の2種類が主要成分であると判明した。フラボノイド量と有機酸量は,紫外線量が海岸に比べると弱い内陸部で採集した個体群の方が多かった。温室内の同一条件下においてポットで10ヶ月間育てた個体でも同様の結果が得られた。以上のことから,ツリガネニンジンの紫外線防御機構においてフラボノイドではなく,葉の形態など他の形質がより重要な役割を担っていることが示唆された。
- 2005-12-26
著者
-
松本 定
国立科学博物館筑波研究資料センター筑波実験植物園
-
松本 定
Department Of Botany National Museum Of Nature And Science
-
岩科 司
国立科博・筑波実験植物園
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岩科 司
国立科学博物館 筑波実験植物園
-
羽柴 敬子
王子製紙日南工場
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岩科 司
国立科学博物館 筑波研究資料センター 筑波実験植物園
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岩科 司
国立科学博物館・筑波研究資料センター
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岩科 司
国立科学博物館
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松本 定
科学博物館 筑波研究資料セ
-
松本 定
国立科学博物館筑波実験植物園
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