ナデシコ科植物の数種に含まれるC-グリコシルフラボンとアントシアニンの定性
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概要
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日本産を主とした12種のナデシコ科植物の地上部,花などに含まれるフラボン類とアントシアニン類を分離し,それらの同定を行なった。濾紙およびカラムクロマト法,あるいは結晶化によって8種類のフラボン類と2種類のアントシアニンが得られた。それらの化合物はクロマトグラム上における基準標品との比較,UV吸収スペクトル,または^1H-NMRスペクトルによって次のように定性することができた。すなわち,フラボンとしては6,8-di-C-glucosylapigenin (vicenin-2, A)とそのX"-O-glucoside (AG1), 4'-O-glucoside (AG2), 4'-O-glycoside (AG3), X"-O-glycoside (AG4), 6, 8-di-C-glycosylluteolin (B), 6-mono-C-glucosylapigenin (isovitexin, IV)および6-mono-C-glucosylluteolin (isoorientin, IOR),アントシアニンとしてはcyanidin 3-O-rhamnosylglucoside (keracyanin, Cy1)および3-O-glucoside (chrysanthemin, Cy2),である。ナデシコ科植物に含まれるフラボノイドとしては,従来多くのC-グリコシルフラボンが知られており,今回定性することのできたフラボノイドも,上記のごとく,すべてアピゲニン型かルテオリン型のC-グリコシルフラボンであり,今までごく少数の種で知られていたフラボノール配糖体は検出できなかった。また,今回材料として用いた12種の植物のうち,ハコベ(Stellaria media)を除く11種の植物,すなわちワダソウ(Pseudostellaria heterophylla),ヒゲネワチガイソウ(P. palibiniana),ノミノツヅリ(Arenaria serpyllifolia),ミヤマハコベ(Stellaria sessiliflora),ノミノフスマ(S. alsine var. undulata),ウシハコベ(Myosoton aquaticum),オランダミミナグサ(Cerastium glomeratum),ミミナグサ(C. holosteoides var. hallaisanense),ムシトリナデシコ(Silene armeria),カスミソウ(Gypsophila elegans)およびツメクサ(Sagina japonica)では今回初めてC-グリコシルフラボンの存在が明らかになった。従来,ハコベではvitexinとisovitexinの存在が報告されていたが,今回の分析では,これらの成分は検出されず,代わりにvicenin-2とその4'-O-glucosideおよび6, 8-di-C-glycosylluteolinが検出され,雑草としで世界的に広く分布しているこの植物のフラボン成分に地理的変異の生じている可能性が示唆された。
- 1987-12-25
著者
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岩科 司
国立科博・筑波実験植物園
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岩科 司
国立科学博物館 筑波実験植物園
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大谷 俊二
(財)進化生物学研究所
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大谷 俊二
東京農業大学生物産業学部
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岩科 司
国立科学博物館 筑波研究資料センター 筑波実験植物園
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岩科 司
国立科学博物館
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