ミズキ属植物の葉に含まれるフラボノイド配糖体 : II.ゴゼンタチバナおよびエゾゴゼンタチバナのフラボノイド
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概要
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ゴゼンタチバナ(Cornus canadensis)の葉に含まれる9種類のフラボノイドがカラムおよびペーパークロマト法などによって分離され,酸加水分解,UV吸収スペクトルの測定,基準標品とのペーパークロマトあるいはHPLCによる比較,さらには質量スペクトル分析などによって以下のように同定された。すなわち,quercetin 3-O-xylosylgalactoside (1), kaempferol 3-O-rutinoside (nicotiflorin, 2), kaempferol 3-O-galactoside (trifolin, 3), quercetin 3-O-galactoside (hyperin, 4), kaempferol 3-O-glucoside (astragalin, 5), kaempferol 3-O-glycoside (6), kaempferol 3-O-xylosylgalactoside (7), quercetin 3-O-glycosylgalactoside (3-O-apiosylgalactosideと推定される,8)および遊離のkaempferol (9)。これらのフラボノイドのうち,以前にC. stoloniferaの樹皮から報告されているhyperinを除くと,すべてが今までミズキ属で発見されたことのないものである。エゾゴゼンタチバナ(Cornus suecica)の葉からはquercetinの3-O-galactosideと3-O-glucoside, kaempferolの3-O-galactosideと3-O-glucoside,および未同定のフラボノイドがHPLC分析によって検出された。ゴゼンタチバナとエゾゴゼンタチバナはArctocrania亜属に類別されるが,quercetinの配糖体に加えてkaempferolの配糖体を主要成分として含んでおり,これらの点で従来分析されたミズキ(C. controversa),クマノミズキ(C. brachypodd), C. darvasicaあるいは, C. drummondiiとは区別される。また,植物の進化はいくつかのフラボノイドを合成する能力の欠失への方向とする従来の仮説を適用すると,ゴゼンタチバナ(複雑なフラボノイドパターンをもつ)は明らかに今まで分析された他のミズキ属植物(簡単なフラボノイドパターンをもつ)と比較して原始的であると推論された。
- 国立科学博物館の論文
- 1992-12-00
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