卵巣ムチン性腫瘍の組織発生と悪性化,特にいわゆる腸上皮化生に関する免疫組織学的研究

元データ 1984-01-01 社団法人日本産科婦人科学会

概要

卵巣ムチン性腫瘍の銀好性細胞の存在は腸吸収上皮,goblet細胞,Paneth細胞の出現とともに,水腫瘍の組織発生における奇型腫起源説の根拠とされてきた.しかしかかる変化はむしろ腸上皮化生であり,良性ムチン性腫瘍の悪性化はかかる腸上皮化生を通じて起こるとの主張もある.これらの問題を解明するために,ムチン性腫瘍における種六細胞と,癌胎児抗原および腸粘液抗原との相関性を検索した.対象抽よび方法としては,卵巣ムチン性腫瘍良性群4例,中間群8例,悪性群6例について,HE染色,グリメリウス染色とともに,癌胎児抗原(CEA),卵巣ムチン性嚢腫粘液抗原(M_1)および腸粘膜goblet細胞粘液抗原(M_3)に対する抗体を用いる酵素抗体法によって染色を行い,銀好性細胞,腸吸収上皮,goblet細胞,Paneth細胞,およびCEAM M_1,M_3との相関性を検索した.1)HE標本による腸吸収上皮,あるいはgoblet様細胞の有無と,銀好性細胞の存在とは必ずしも一定の関係はみられない.またPaneth細胞の認められた症例はない.腸吸収上皮あるいはgoblet細胞は中間群,悪性群に著明に認められる.CEAは腸吸収上皮の尖端部に見られ,悪性化とともに細胞質にも見られる傾向が認められる.以上の結果は悪性化がいわゆる腸上皮化生を通じて起こる事を支持している.2)M_1は全腫瘍に存在するが,M_3はgoblet様細胞の一部に認められるのみで,銀好性細胞,腸吸収上皮あるいはCEAの存在と一定の関係は認められない.したがってM_3はいわゆる腸上皮化生というよりも,奇型腫起源の腸goblet細胞に存在すると理解できる.

著者

森 武貞 大阪大学医学部第2外科
井上 正樹 大阪大学医学部産科婦人科教室
斉藤 淳子 大阪大学医学部産婦人科
斎藤 淳子 大阪大学 産婦人科
上田 外幸 大阪大学医学部
森 武貞 大阪大学医学部第ii外科学教室
倉智 敬一 大阪大学医学部産科婦人科学教室
倉智 敬一 大阪大学医学部産婦人科学教室
倉智 敬一 大阪大
山崎 正人 大阪大学医学部産婦人科学教室
上田 外幸 大阪大学医学部産科婦人科学教室
上田 外幸 大阪大・産婦人科
上田 外幸 大阪大学病院産婦人科
田中 善章 大阪大学医学部産婦人科学教室
田中 善章 大阪大学医学部産科婦人科学教室
山崎 正人 国立呉病院
西野 照代 大阪大学医学部産婦人科
平松 恵三 平松産婦人科医院
井上 由之助 大阪大学医学部産婦人科
平松 恵三 大阪大学医学部産婦人科
西野 照代 大阪大学産婦人科
井上 由之助 大阪府立母子医療センター
井上 正樹 大阪大学医学部産婦人科学教室
倉地 敬一 阪府立母子保健総合医療センター産科
山崎 正人 国立呉病院産婦人科

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