卵巣癌に対するPAC (Cis-platin, Adriamycin and Cyclophosphamide)の周期的強化化学療法 : Cyclic-PAC療法

元データ 1990-04-01 社団法人日本産科婦人科学会

概要

今日, 卵巣癌に対する治療はCis-platinを含む多剤併用化学療法が, 手術療法と共に基本的な治療手段となり, その一次効果は一般に認められているが, 長期予後に関しては必ずしも満足すべき結果は得られていない. そこで, われわれは数年前より臨床進行期Ic期以上の症例に手術療法および化学療法に引き続き, 3コースごとのCis-platin, Adriamycin, Cyclophosphamide (PAC) 療法を3ヵ月間の休薬期間を設けながら, 周期的に1年6ヵ月にわたって合計9コースを投与している (Cyclic-PAC療法). 本論文において, このCyclic-PAC療法, 手術療法後3コース前後のPAC療法, Cis-platin導入以前のFAM (5-Fu, アルキル化剤, Mitomycin C) 療法との三者における治療成績を進行期Ic期以上の症例において比較検討した. FAM群は30例, PAC群は31例, Cyclic-PAC群は24例であった. 3年生存率はFAM群30%, PAC群35%で, 両者に有意差はなかったが, Cyclic-PAC群では3年生存率が66%で, 有意に生存率の向上がみられた. 進行期III, IV期症例でも同様にFAM群で13%, PAC群で18%, Cyclic-PAC群で54%に3年生存率が得られた. また, 残存病変が2cm未満の症例では予後は比較的良く, 3年生存率56%(FAM群), 55%(PAC群), 73%(Cyclic-PAC群)であったが, 2cmを越える病変が残った症例ではFAM群, PAC群では3年生存症例はなかったが, Cyclic-PAC群では40% ( 3年生存率) が得られた. 一方PAC療法を長期間続けることによる副作用は認められなかった. 以上のように, Cis-platinの短期間投与では卵巣癌患者の予後に与える効果は薄く, われわれの導入しているCyclic-PAC療法が優れていることが示された. 卵巣癌患者の予後改善には腫瘍縮小手術後長期間の系統的強化化学療法が必要と考えられる.

著者

谷澤 修 大阪大
井上 正樹 大阪大
上田 外幸 卵巣腫瘍登録委員会
井上 正樹 大阪大学医学部産科婦人科教室
斉藤 淳子 大阪大学医学部産婦人科
斎藤 淳子 大阪大学 産婦人科
清水 廣 大阪大学医学部
上田 外幸 大阪大学医学部
谷澤 修 大阪大学医学部
谷沢 修 大阪大学医学部
清水 廣 大阪大学医学部産科婦人科
上田 外幸 大阪大学医学部産科婦人科学教室
上田 外幸 大阪大・産婦人科
上田 外幸 大阪大学病院産婦人科
田中 善章 大阪大学医学部産婦人科学教室
田中 善章 大阪大学医学部産科婦人科学教室
中西 一吉 大阪大学医学部産婦人科
中沢 愛子 大阪大学医学部産婦人科
小川 晴幾 大阪大学医学部産婦人科
中澤 愛子 済生会中津病院
小川 晴幾 大阪大学医学部産科婦人科学教室
井上 正樹 大阪大学医学部産婦人科学教室
上田 外幸 大阪大学医学部産婦人科学教室
中沢 愛子 大阪大学 産婦人科
中澤 愛子 大阪大学医学部産科婦人科学教室
中西 一吉 大阪大

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