子宮頚部病変におけるHPV-DNAの同定Polymerase chain reactionとin situ hybridizationによる検討

元データ 1991-05-01

概要

Human papillomavirus(HPV)は, 子宮頚癌の発生と密接に関与する可能性が指摘されている. 今回われわれは, HPVの感染実態, および感染様式と病変の関係を把握するために, polymerase chain reaction (PCR)法にて子宮頚部におけるHPV 16/18型の感染率を明らかにするとともに, HPVの認められた症例を中心としてin situ hybridizationを施行し, その組織内局在と病変の関係について検討した. その結果, 1)HPV 16/18型のE6遺伝子領域を増幅したPCR法では, 正常人31例中5例(16%)に, cervical intraepithelial neoplasia (CIN)群67例中16例(24%)に, 頚癌群16例中6例(38%)にHPV感染を認めた. 2)in situ hybridization法では, PCR法陽性症例27例中19例(70%)にHPV-DNAを認めた. HPVのタイプは, コンジローマ症例からは6/11型が検出されたが, 正常上皮, CIN, 浸潤癌からは16/18型が検出された. 3)HPV-DNAの組織内局在は, 正常上皮, CIN I, コンジローマでは上皮表層の細胞の核に認められたが,CINの程度が進行するのに伴い, より下層の細胞にも検出されるようになり, CIN IIIや浸潤癌では上皮全層の異型細胞の核に認められた. 4)核の染色性はCINの程度の進行に伴い弱くなり, CIN IIIや浸潤癌ではかなり減弱していた. 以上の結果より, 正常人の子宮頚部上皮にもHPV 16/l8型DNAが検出され, これらを長期follow upすることがHPVと発癌の関係を明らかにするために重要であること, 病変の程度に応じてHPVの組織内局在や染色性が変化し, ウイルスの存在様式が病変と密接に関連する可能性があること, が示唆された.

著者

谷澤 修 大阪大
井上 正樹 大阪大
上田 外幸 卵巣腫瘍登録委員会
井上 正樹 大阪大学医学部産科婦人科教室
上田 外幸 大阪大学医学部
谷沢 修 大阪大学医学部
上田 外幸 大阪大学医学部産科婦人科学教室
上田 外幸 大阪大・産婦人科
上田 外幸 大阪大学病院産婦人科
中沢 愛子 大阪大学医学部産婦人科
小川 晴幾 大阪大学医学部産婦人科
京 哲 大阪大学医学部産婦人科
中澤 愛子 済生会中津病院
小川 晴幾 大阪大学医学部産科婦人科学教室
井上 正樹 大阪大学医学部産婦人科学教室
佐治 末文隆 大阪大医
谷沢 修 大阪大学
谷 澤修 大阪大
上田 外幸 大阪大学医学部産婦人科学教室
中沢 愛子 大阪大学 産婦人科
中澤 愛子 大阪大学医学部産科婦人科学教室

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