婦人科腫瘍並びに関連病変におけるProliferating Cell Nuclear Antigen(PCNA)の免疫組織学的検討

元データ 1992-02-01 社団法人日本産科婦人科学会

概要

Proliferating cell nuclear antigen (PCNA) は DNA合成期の細胞に発現する核蛋白とされているが, ホルマリン固定, パラフィン包埋切片を用いてPCNAを検出しうるモノクロナル抗体 (PC10) が最近開発された. 予備実験として行つた PCNA と Ki67の標識率との間には r=0.76 (p<0.05) の相関が認められた. また, 対照として用いた小腸上皮, 扁桃組織においては PCNAの発現は細胞増殖期にある分画すなわち陰高細胞や胚中心に強く認められた. そこでPC10を用いて婦人科腫瘍並びに関連病変140例 (子宮頚部上皮性腫瘍並びに関連病変46例, 子宮体部上皮性腫瘍並びに関連病変30例, 卵巣腫瘍64例)を対象として免疫組織学的手法によりPCNA陽性細胞の組織内分布, 発現頻度について検討し, PCNAと細胞増殖能との関係を調べた. PC10による呈色は細胞の核内に顆粒状に染色されるもの, 核質内全域に均一に染色されるもの, 両者の混在するものの3種類が認められた. 腫瘍並びに関連病変の組織においては同一切片内でも局所的に呈色度に差がみられ, PCNA陽性細胞の局在傾向が失われる症例もみられた. 腫瘍細胞の31%以上にPCNAの発現がみられる頻度は子宮頚部異形成2/3 (67%), 上皮内癌2/5 (40%), 微小浸潤癌2/2 (100%), 扇平上皮癌9/13 (69%), 腺異形成0/4 (0%), 上皮内腺癌4/4 (100%), 微小浸潤腺癌3/3 (100%), 悪性腺腫0/5 (0%), 腺癌6/7 (86%), 子宮内膜増殖症0/5 (0%), 内膜腺癌6/25 (24%), 卵巣表層上皮性間質性腫瘍良性群0/5 (0%), 境界悪性群0/6 (0%), 悪性群11/17 (65%), 卵巣性索間質性腫瘍2/14 (14%), 卵巣胚細胞性腫瘍3/22 (14%)であつた. 今回の検討よりPCNA は正常組織, 腫瘍並びに関連病変の組織における細胞の増殖能を反映する指標として用いうると考えられた.

著者

藤田 征巳 大阪大
辻本 正彦 大阪警察病院臨床病理科
清水 廣 清水レディースクリニック
谷澤 修 大阪大
井上 正樹 大阪大
上田 外幸 卵巣腫瘍登録委員会
井上 正樹 大阪大学医学部産科婦人科教室
清水 廣 大阪大学医学部
上田 外幸 大阪大学医学部
谷澤 修 大阪大学医学部
辻本 正彦 大阪警察病院
谷澤 修 大阪大学医学部産科婦人科
谷沢 修 大阪大学医学部
上田 外幸 大阪大学医学部産科婦人科学教室
上田 外幸 大阪大・産婦人科
上田 外幸 大阪大学病院産婦人科
大橋 一友 大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻統合保健看護科学分野生命育成看護科学講座
澤田 益臣 大阪大学医学部産婦人科学教室
小川 晴幾 大阪大学医学部産婦人科
中澤 愛子 大阪大学医学部産婦人科
澤田 益臣 大阪大
沢田 益臣 大阪大学微生物病研究所
中澤 愛子 済生会中津病院
小川 晴幾 大阪大学医学部産科婦人科学教室
藤田 征巳 大阪大学医学部産科婦人科学教室
佐治 文隆 大阪大学大学院医学系研究科
井上 正樹 大阪大学医学部産婦人科学教室
藤田 征巳 大阪大学 医学部産科学婦人科学教室
清水 廣 泉大津市立病院 産婦人科
谷 澤修 大阪大
上田 外幸 大阪大学医学部産婦人科学教室
中沢 愛子 大阪大学 産婦人科
中澤 愛子 大阪大学医学部産科婦人科学教室
Ohashi Kazutomo Faculty Of Medicine Osaka University

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