婦人科腫瘍におけるsialyl SSEA-1抗原の臨床的意義
元データ
1987-12-01
社団法人日本産科婦人科学会
概要
Sialyl SSEA-1抗原の婦人科腫瘍における腫瘍マーカーとしての臨床的有用性を検討するため,各種婦人科腫瘍患者血清中の本抗原をFH-6オーツカキットを用いて測定した,子宮筋腫,子宮体部癌,子宮頚部癌及び卵巣良性腫瘍患者における陽性率は極めて低かったが,悪性卵巣腫瘍患者では臨床進行期と共に陽性率は上昇し,III期では28例中21例(75%)が陽性を示した.このうち術後も測定し得た卵巣腺癌の4症例は全例正常域に復し,臨床像と良く相関した.卵巣腫瘍内容液の測定では,良性群で6例中2例が高値を示したが,悪性群では14例全例が高値を示した.Sialyl SSEA-1抗原の組織学的局在も腺上皮組織を中心に検討した.本抗原は良性,悪性を問わず腺上皮細胞に広汎に認められた.しかし,陽性細胞は一般に少なく,正常の頚管腺,内膜腺及び卵管腺上皮の主として細胞質先端部に抗原の局在を認めた.一方,腺癌組織では症例により陽性細胞数は大きく異なるが,腺癌細胞質全体,腺腔内面あるいは腺腔内容物に強い染色性を認めた.なお,組織型や臓器特異性は特に認めなかった.Sialyl SSEA-1抗原は,子宮体部及び頚部癌には有用性は認め難いが,悪性卵巣腫瘍にとっては,その臨床像を良く反映し,臨床上有用な腫瘍マーカーと考えられる.
著者
谷口 武
定生会谷口病院
清水 廣
清水レディースクリニック
井上 正樹
大阪大学医学部産科婦人科教室
斉藤 淳子
大阪大学医学部産婦人科
斎藤 淳子
大阪大学 産婦人科
清水 千賀子
大阪大学医学部
清水 廣
大阪大学医学部
上田 外幸
大阪大学医学部
笹川 寿之
大阪大学医学部産婦人科
谷沢 修
大阪大学医学部
上田 外幸
大阪大学医学部産科婦人科学教室
上田 外幸
大阪大・産婦人科
上田 外幸
大阪大学病院産婦人科
笹川 寿之
金沢大学 産婦人科
清水 千賀子
大阪大学医学部産科婦人科学教室
木村 正
大阪労災病院産婦人科
河田 優
大阪労災病院産婦人科
谷口 武
貝塚市民病院産婦人科
井手 辰夫
貝塚市民病院産婦人科
井上 正樹
大阪大学医学部産婦人科学教室
清水 廣
泉大津市立病院 産婦人科
谷沢 修
大阪大学
上田 外幸
大阪大学医学部産婦人科学教室
木村 正
大阪労災病院 産婦人科
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