子宮内膜腺癌に対するmonoclonal抗体(MCA-97)の作製とその反応特異性

元データ 1986-01-01 社団法人日本産科婦人科学会

概要

我々は,子宮内膜癌に反応するmonoclonal抗体を作製し,細胞及び血清レベルでの反応特異性の検討を加え,腫瘍マーカーとして臨床応用の可能性を追求したので報告する.免疫原としてlSHIKAWA株細砲(ヒト子宮内膜癌由来株)を用い,BALB/cマウス脾細胞とmyeloma細胞(NS-1)をpolyethylene glycol(Mr1000)を用いて融合させ,ISHIKAWA株細胞(ヌードマウス移植系)の組織切片での酵素抗体法によるスクリーニングと限界希釈法によるクローニングをおこない,株細胞と反応する抗体(MCA-97)を産生する一つのmonoclonal hybridoma株を得た.MCA-97のimmunoglobulin subclassはIgMでホルマリン固定,パラフィン包埋切片での検討では,増殖期内膜,卵管,子官頚部,消化器等の正常腺上皮と反応した.癌組織では,子宮内膜腺癌を初め種々の婦人科腺癌に反応したが,子宮内膜腺扁平上皮癌の扁平上皮癌部分や,子宮頚部扁平上皮癌はすべて陰性であつた.さらに,卵巣漿液性腺癌は全例陰性であるに反し,卵巣類内膜癌は高率に陽性であつた.これらの反応性は腺細胞膜に強く認めた.各種癌細胞株を用いたcellular enzyme-linked immunospecific assay法による検討でも同様に,腺癌由来細胞株,全てに反応し,認識抗原は細胞表面に存在することが示された.患者血清との反応性にはreversed passive hemagglutination法を用いた.健常婦人では10%が陽性であるのに反し,子宮内膜癌患者では11例中5例(45%)が陽性であつた.また,子宮頚部扁平上皮癌及び卵巣漿液性腺癌患者は全て陰性であつたが,卵巣類内膜癌患者は4例中3例(75%)と高率に陽性を示した.Monoclonal抗体(MCA-97)は腺上皮に特異性が高く,認識される抗原は正常腺上皮にも存在するが,癌患者血中に高率に流出しており,腫瘍マーカーとして臨床応用しうる可能性を有している.

著者

井上 正樹 大阪大学医学部産科婦人科教室
斉藤 淳子 大阪大学医学部産婦人科
斎藤 淳子 大阪大学 産婦人科
上田 外幸 大阪大学医学部
谷沢 修 大阪大学医学部
上田 外幸 大阪大学医学部産科婦人科学教室
上田 外幸 大阪大・産婦人科
上田 外幸 大阪大学病院産婦人科
田中 善章 大阪大学医学部産婦人科学教室
田中 善章 大阪大学医学部産科婦人科学教室
阿部 良人 大阪大学産婦人科
阿部 良人 大阪大学医学部産婦人科
安部 良人 大阪大学医学部産婦人科学教室
井上 正樹 大阪大学医学部産婦人科学教室
谷沢 修 大阪大学
上田 外幸 大阪大学医学部産婦人科学教室

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