胞状奇胎子宮着床部の組織学的研究

概要

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胞状奇胎内容除去後患者は長期間異常症状を訴えるもの多く, 絨毛上皮腫を続発するものもあるが, その原因については不明である. そこで奇胎子宮30例の着床部を組織学的に検索, つぎの結果を得た. 1) 着床部絨毛細胞の増殖は, 全く欠除するもの2例(6.6%),増殖及び軽度異型性を認めるもの20例(66.6%),高度増殖及び異型性を認めるもの8例(26.6%)である. 2) 絨毛細胞の侵蝕は基底層上にとどまるもの5例(16.6%),筋層表面へ侵蝕17例(56.6%),筋層深部へ侵蝕するもの8例(26.6%)であり,これは破壊奇胎を発生しているとすべきである. 3) Syncytial Endometritis は程度の差はあるが, 27例(90%)に認めた. 4) 筋層血管内に絨毛組織侵入を20例(66.6%)に認めた. 而し増殖を示すものはみられない. 以上奇胎子宮の多くは既に絨毛細胞が筋層内, 血管内へ侵入, 破壊奇胎の所見を示している. これは胞状奇胎掻爬後長期間管理の必要性, 並に破壊奇胎, 絨毛上皮腫発生についての一知見を示したものである.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1973-05-01