絨毛性疾患におけるHCG,HCGβ値による寛解判定基準に関する研究

概要

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1.1973年〜1979年までの絨毛性疾患141例中寛解は130例(92.2%)であったが,このうち再発率は6.2%(8/130)であった.Risk別再発率はhigh riskで23.1%(6/26),1owriskでは1.9%(2/104)であった.2。寛解後再発までの期間は3ヵ月〜1年10ヵ月(平均7.8ヵ月)であった。再発時HCGは320〜800IU/L(平均580IU/L)で,転移は4例(50%)に見られた.3.再発例のLHレベルにおけるHCG値は尿中29.8±23.5IU/L,血中HCG RIAにて13.7±6.4mIU/ml,HCGβ RIAにて1.5±0.7ng/mlであり,寛解群の各々が13.8±13.OIU/L,11.3±4.1mIU/ml,1.0±0.6ng/mlであるのに比してやや高い傾向を見た.しかし,ほとんど感度以下を示したにもかかわらず再発が2例見られた.4.LHレベルに下降時において,さらにLH抑制後(プレマリソ10mg投与後)上記各測定平均値は再発群では13.0±6.7IU/L,11.8±5.1mIU/ml,1.4±0.4ng/ml,寛解群では9.0±7.3IU/L,7.5±3.6mIU/ml,0.9±0.4ng/mlと再発群の方がやや高かった.5.以上より,現在の寛解基準としては尿中HCG値がLHレベルに下降し細胞効果消失後,low riskでは3週間,high riskでは3ヵ月間(最低週2回の測定)尿中HCG(HAR)では20IU/L,HCG RIA10mIU/ml,HCGβRIA 1.0ng/ml以下を持続する事,これ以上の場合はLH抑翻後測定し上記値を示す事とする.しかし,これは充分条件ではない事が判明した.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1982-04-01