実験的卵巣腫瘍の発生過程に於ける解糖系酵素活性の変動とそのアイソザイムパターンの偏倚に関する研究
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概要
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化学発癌剤により誘発された卵巣腫瘍の生化学的特異性を解糖系酵索活性並びにそれらのアイソザイムパターンより分析し,次の緕果を得た.1)lactate dehydrogenase(LDH),hexokinase(HK),glucose-6-phosphate dehydrogenase(G6PDH)及びphosphoglucomutase(PGM)の酵素活性は正常卵巣組織及びPrecancerous組織に比し,悪性腫瘍組織で有意に高い活性を示したが,組織型による差異は見られなかつた.2)LDHアイソザイムパターンは,対照卵巣組織に比し,precancerous組織ですでにM型へのshiftが観察され,腺癌では肉腫に比し,M型活性の増強が特徴的であった.3)HKアイソザイムパターソは,対照卵巣組織ではI,II型HKが著明でIII型HKは弱いが,癌化に伴いIII型HKが強くたることが示されたが,肉腫と腺癌の間で大きな差異は見られなかった.4)発生した腫瘍を幼若ラットの背部皮下に移植し,移植前と後の酸素活性の変動を調べたところ,継代が不能になるとHK,G6PDH及びPGMの活性が低下し,特にG6PDHの減少が著しかった.5)移植後LDHアイソザイムパターンは継代不能になると対照卵巣組織のそれと類似したパターンを示す様になった.6)in vitroの培養を試みた腫瘍の内,初代培養に成功した例では不成功例に比し,そのLDH活性は有意に上昇していた.7)培養細胞株化に成功した2系の培養細胞をin vivo及びin vitroでLDH及びHKアイソザイムパターンを調べると,in vivoではLDH-2,3,4,5が出現しているが,in vitroに移すとLDH-2,3が消失しLDH-4,5のみとなる.HKアイソザイムに於ても同様にin vivoで出現していたIII型HKがin vitroでは消失していた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1979-09-01
著者
-
関谷 宗英
千葉大学医学部産科婦人科学教室
-
高見沢 裕吉
千葉大学医学部産婦人科
-
森川 真一
千葉大学医学部産科婦人科学講座
-
高見沢 裕吉
千葉大学医学部
-
菊池 義公
千葉大学医学部産科婦人科学教室
-
関谷 宗英
千葉大学医学部産婦人科
-
加藤 孝子
千葉大学医学部産婦人科学教室
-
工藤 純孝
千葉大学医学部産科婦人科学教室
-
工藤 純孝
工藤産婦人科医院
-
工藤 純孝
岩手・工藤産婦人科医院
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