難治性絨毛癌に対する化学療法の臨床的研究
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概要
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過去29年間に当科で治療した絨毛性疾患373例(除奇胎)について治療方法の変遷による寛解率を比較した。この中で1973年以降行われたMethotrexate(MTX)、Actinomycin D(Act-D)、アルキル化剤の3剤併用療法(MAC療法)に抵抗性を示す症例や再発症例に対する新しい治療法の確立が望まれた。そこで新しい抗癌剤であるVP16-213(Etoposide)についての基礎的・臨床的検討を行ない以下のの結果を得た。 1)年代別絨毛癌寛解率、手術療法中心の年代(1956〜1963)、MTX、Act-D投与の年代(1964〜1972)、MAC療法導入後(1973〜1984)各々22.7%、37.5%、62.2%と向上した。 2) 転移性high riskに初回よりMAC療法を行なった32例中21例(65.6%)は寛解したが、二次的にMAC療法を行なった11例では5例(45.5%)の寛解率にすぎなかった。また転移のない症例では全例MAC療法により寛解した。 3)再発時MAC療法は9例中4例(44.4%)が寛解した。しかしMAC療法後再発した症例では16.7%(1/6)の寛解率にすぎなかった。 4)VP16-213臨床血中濃度による絨毛癌培養細胞株の生存率変化は、MTX、Act-Dと同様であった。 5)MEA(moderate dose MTX, Act-D,VP16-213)療法を6例の難治性絨毛癌に施行し、5例(83.3%)の寛解を得た。 6)MEA療法の自、他覚副作用として重篤なものは少なかったが、脱毛(100%)、ヘモグロビン9.5g/dl以下(75.8%)が認められた。 7)MEA療法の休薬期間は、治療コース数によりあまり延長せず、2週間前後で行なわれMAC療法とはほとんど差を認めていない。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1987-07-01
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