難治性絨毛癌に対する化学療法の基礎的臨床的研究

概要

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MTX、Act-D、CPMの三剤併用療法(MAC)の導入以来、絨毛癌の寛解率は向上してきたが、MAC抵抗症例の予後は十分ではない。かかる症例の予後を改善するために、薬剤抵抗性絨毛癌肺転移巣より樹立したHM細胞を抗癌剤で処理し(MTX10^<-8>M、Act-D10^<-8>M、MTX 10^<-8>M+ActD 10^<-8>M、MTX 10^<-5>M、MTX 10-<-5>M+Act-D 10^<-8>M)、細胞増殖、 ^3H-deoxyuridine取り込み、dihydrofolate reductase(DHFR)活性の変化を調べた。この結果をもとに作製したプロトコールを絨毛癌患者に行い、MAC療法との効果を比較した。1.細胞増殖、 ^3Hdeoxyuridine取り込みの抑制、DHFR活性の変化よりみた抗腫瘍効果は、MTX10^<-5>MとAct-D1O^<-8>Mの併用が最大であった。2.(i)この結果にヌードマウスの成績をふまえ作製したMTX450mg+Oncovin 2mg+Act-D 0.5mgの三剤併用療法(MOA)を絨毛癌5例に施行した。(ii)MAC療法で治療した絨毛癌は39例で、28例、71.1%が寛解した。しかし、8例、28.6%が再発、MAC療法で再治療時は、1例、12.5%が寛解した。(iii)MOA療法は、MAC抵抗症例2例を含む5例に行い、全例寛解した。現時点においてMOA療法はMAC療法より有効であることが示唆された。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1987-01-01