絨毛性腫瘍に対する治療基準設定に関する研究
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概要
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過去22年間における絨毛性腫瘍患者(除奇胎)258名について治療方法の変遷による寛解率を比較した.さらに1973年以後, 尿中hCG値, 先行妊娠から治療開始までの期間, 先行妊娠の種類, 脳, 肝転移の有無に基く"Highrisk"基準を設定, これ等にMethotrexate(MTX), ActinomycinD(Act-D), アルキル化剤を含む三割同時併用療法を施行し, 以下の結果を得た.1)手術療法中心の時代(1956〜1963), MTX, ActD投与の時代(1964〜1972), 三割同時併用療法導入の時代(1973〜1977)における寛解率は各々58.1%, 76.2%, 90.2%である.2)転移例の寛解率は39.4%より79.2%へ, 非転移例では79.3%より100%へ改善された.組織診断別絨毛癌では22.7%から59.3%に, 破壊性奇胎, 区分不明群では100%の寛解率となった. 3)"High risk"33例, "Low risk"79例についての寛解率は66.7%, 100%である. "High risk"のうち転移性絨毛癌のみが45%, 他は100%の寛解率であつた. 4) "High risk"の治療法別寛解率は初回より三剤同時投与例では75.0% (18/24) , 2次的投与例では44.4% (4/9) , であつた. 三剤同時併用療法8コース以上必要とする症例ではすべて死亡した. 5) 三剤同時併用療法によつて死に至る重篤な副作用はみられなかつた. 6) 再燃率は"Low risk"2.5% (2/79) , "High risk"15, 2% (5/33) であり, 計6.3% (7/112) であつた. 現行の治療打ち切りの時期, 寛解基準については再検討が必要である. 7) 以上, 絨毛性腫瘍に対する治療方針として"High risk""Low risk"に分けて"High risk"には初回よりの強力な治療体制が必要であり寛解基準も別に設定する必要のあることが判明した.
- 1979-11-01
著者
-
高見沢 裕吉
千葉大学医学部産婦人科
-
高見沢 裕吉
千葉大学医学部
-
加藤 孝子
千葉大学医学部産婦人科学教室
-
工藤 純孝
千葉大学医学部産科婦人科学教室
-
工藤 純孝
工藤産婦人科医院
-
工藤 純孝
岩手・工藤産婦人科医院
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