実験的ラット卵巣腫瘍由来4クローン株細胞の分離と性状
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概要
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化学発癌剤7,12-dimethylbanz(a)anthracene及び20-methylcholanthreneを用いたclipping法処理によりSprague-Dawley系ラットに発生した実験的卵巣腫瘍15例の組織培養を試み,以下の結果を得た.1)組織培養を試みた卵巣腫瘍の組織型は腺癌8例,肉腫6例,扇平上皮癌1例で,対照として無処理成熟ラットの卵巣4例を培養した.2)初代培養成功例は腺癌5例,肉腫4例,扇平、ヒ皮癌1例で,15例中10例(67%)に認められた.3)初代培養成功例は不成功例と比較すると未分化で,組織中乳酸脱水素酵素(LDH)活性の高い腫瘍組織由来の細胞であった.4)この中腺癌2例,肉腫1例,扁平上皮癌1例の計4例が長期培養され,クローン株細胞として現在に至るまで継代されている.5)分離された4クローン株細胞はいづれも可移植性で原腫瘍の組織を再現する.以上実験的ラット卵巣腫瘍から分離された腺癌(ROT58/C3及びROT68/Cl)肉腫(ROT2/C2),及び,扁平上皮癌(ROT74/C2)由来のクローン株細胞はそれぞれの細胞生物学的特徴を厳密な条件下で比較する場合,或は有効な制癌剤の選択及びその作用機序を直接的かつ細胞レベルで検索する材料として有用であると思われる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1979-10-01
著者
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