子宮内膜癌High risk因子の基礎的解析 : 実験的無排卵ラットにおける卵巣,子宮の機能および形態の異常

概要

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ヒトの子宮内膜増殖症及び子宮内膜癌のhigh risk因子の一つと考えられている無排卵性不妊症の動物実験モデルとしてandrogen不妊ラット(以下ASR)を作製し,経時的に卵巣,子宮の機能及び形態について検索し以下の結果を得た.1)正常対照ラット(NR)は生後45日前後で全例膣開口したが,ASRでは生後300日でも63%しか膣開口が認められず,不妊率は98%であった.2)膣開口以後NRでは4〜5日の正常性周期を示すが,ASRでは性周期を欠き,全例持続性発情を認めた.3)NRに比し,ASRでは加齢につれ,体重の増加が著明になるが,卵巣,子宮重量は共に低値を示した.4)組織学的にASRの卵巣は多嚢胞性で,間質はやや肥厚し,黄体の欠如が特徴的であった.5)ASRの子宮内膜は49匹中5匹(10.2%)に高度増殖を認め,この中2匹(4.1%)に異型増殖が発生した.又21匹(43%)に扁平上皮化生を認めた.6)内分泌学的にはNRに比しASRでは血清progesterone値の有意の低下により,estrogen/progesterone(以下E/P)比は高値を示した.7)NRに比しASRの去勢あるいはestradiol(E_2)投与に対する子宮の反応性は,子宮重量,細胞質E_2 receptor,子宮peroxidase誘導を指標とすると低下していた.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1982-02-01