B型肝炎ウイルスの夫妻間感染に関する研究 : 時にHBsAg carrier妻より夫への感染について
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概要
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HBsAg carrier state婦人よりその夫へのhepatitis B virus(HBV)感染様式において, carrier婦人の夫におけるHBsAg/HBsAbの保有状況, 結婚後急性肝炎発症状況, carrie 婦人体液中のHBsAgの有無等を検討し, 更にcarrier婦人血中HBsAgの力価, ならびにeAg/eAbの有無, 夫血中HBsAg/HBsAbの出現時期等にも考察を加え, 以下の結論を得た.(1)Carrier婦人の夫におけるHBsAg/HBsAbの検出率は32.8%, 結婚後急性肝炎として加療されたもの7.2%と高値であつた.(2)夫の血中HBsAg/HBsAb出現の時期, 肝炎発症の時期等から, 大多数の感染例が結婚後短期問の内に生じ, carrier婦人血中HBsAgの力価, eAg/eAbの有無が, 感染が生ずるか否かの重要な指標である.(3)頚管粘液, 帯下中には高頻度にHBsAgが検出され, これらがHBVの夫妻間感染上, 重要な位置を占めることが明らかになつた.又月経中, 及び月経直後の帯下中のHBsAgの出現頻度及び力価より, この期間の性生活は特に危険である.(4)乳汁中のHBsAgは検出頻度も少なく, 低力価であり, 乳汁は感染にはさはど重要な因子とは考えられない.(5)RIA法による唾液中HBsAgのcountは低い傾向にあり, HBV感染の重要な指標である.carrier婦人血中eAg, eAbとの間にも正の相関が認められなかつた.一方, 唾液中HBsAg陽性婦人の夫では, HBB exposure markerが陰性群に対して有意に高い傾向が認められ, 唾液のHBV感染における役割は, 更に検討が必要である.(6)最後に, carrier婦人よりその夫へのHBV感染の予防対策, 及び肝炎発症対策について考察を加え, 同時に将来の展望にも触れた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1981-06-01
著者
-
稲葉 憲之
千葉大学医学部産科婦人科学教室
-
高見沢 裕吉
千葉大学医学部産婦人科
-
高見沢 裕吉
千葉大学医学部
-
工藤 純孝
千葉大学医学部産科婦人科学教室
-
大川 玲子
国立千葉病院産婦人科
-
大川 玲子
千葉大学医学部薬理学教室
-
工藤 純孝
工藤産婦人科医院
-
工藤 純孝
岩手・工藤産婦人科医院
-
青木 謹
千葉大学医学部産科婦人科学教室
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