良性卵巣腫瘤に対する超音波下穿刺薬物注入療法の開発
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概要
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1985年から1991年の7年間に良性漿液性卵巣嚢胞44例,チョコレート嚢胞33例計77例に超音波ガイド下穿刺,内容排液後,薬物(漿液性卵巣嚢胞には無水エタノール,チョコレート嚢胞にはダナゾール溶解エタノール)を注入する治療法を施行した。漿液性卵巣嚢胞44例中29例,66%,チョコレート嚢胞33例中25例,76%に腫瘤感,下腹部痛,月経痛などの症状がみられたが治療後殆ど直ちに症状消失,月経痛は次周期より消失,症状の再現をみない。挙児希望は漿液性卵巣嚢胞に2例,チョコレート嚢胞10例にみられたが,それぞれ1, 4例に妊娠の成立を認め,いずれも正常分娩であった。治療後,超音波での観察で小さな嚢胞エコー,不整な内腔を持つ卵巣エコーとして観察される例はみられるもいずれも再発とは考えられず,最長7年,3年以上経過した29例中19例,66%は一年半前後の経過で超音波上異常がみられなくなり,他は縮小不変で経過している。本法は嚢胞が多房性あるいは内容が濃厚なチョコレート嚢胞の場合には再穿刺あるいは生理食塩水による腫瘤内の洗浄の繰り返しを必要としたが,開腹手術が問題になる若年者,未婚者,あるいは手術侵襲が問題になる高齢者にも充分応用し得る,侵襲の少ない,確実性のある今後期待される治療法と考えられた。
- 千葉大学の論文
- 1992-10-01
著者
-
田中 尚武
千葉大学医学部産科婦人科学教室
-
高見澤 裕吉
千葉大学医学部産科婦人科学教室
-
稲葉 憲之
千葉大学医学部産科婦人科学教室
-
高野 始
千葉大学医学部産科婦人科教室
-
高見澤 祐吉
獨協医大
-
上杉 健哲
国立横浜東・産婦人科
-
田中 尚武
千葉大学医学部産婦人科
-
高野 昇
国立横浜東
-
高野 始
千大・産婦人科
-
田中 宏一
国立横浜東病院産婦人科
-
高見澤 裕吉
獨協医科大学 産科婦人科
-
高野 昇
国立横浜東病院産婦人科
-
上杉 健哲
国立横浜東病院
-
高見澤 裕吉
千葉大学医学部産婦人科
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