HTLV-I垂直感染 : 遺伝子診断の確立と感染経路の検討について
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概要
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Polymerase chain reaction (PCR)法を用いたHTLV-I provirus検出によって母児感染を同定することにより, PCR法の有用性について検討するとともに, 児の栄養法の違いによる感染率を比較し, 感染経路を再検討した. PCR法にてHTLV-I provirusが確認されたキャリア妊婦26名の出生児39名(母児栄養児12名, 人工栄養児27名)について抗体測定と同時にprovirus検出を行った. キャリア妊婦のprovirus検出は1組のprimerを用いたsingle PCR法によって, 末梢血より抽出したDNAのpX-IV領域の444塩基対を増幅した. 出生児の抗体検出はparticle agglutination (PA)法, indirect immunofluoescence(IF)法を用いて, またPCR法は2組のprimerを用いたnested double PCR法により304塩基対を増幅した. 増幅後のDNAはアガロースゲルで電気泳動後エチジウムブロマイド染色して観察した. 陽性例はさらに制限酵素で消化して検出バンドの特異性を確認した. 母乳栄養児については, 抗体は12例中2例(16.7%)が陽性でありPCRはともに陽性であった. 抗体陰性10例は全例PCR陰性であった. 人工栄養児については, 抗体は27例中移行抗体と思われる臍帯血および生後6カ月の2例を除いて全例陰性であったが抗体陰性中PCR法で4例(14.8%)が陽性であった. Nested double PCR法の感度はprovirusが検体中に3copiesあれば検出可能であり, cross contaminationを避けられるならば信頼性のおける方法と思われる. 過去の報告とは異なり両栄養法間にPCR陽性率に差がみられず母乳感染以外の経路が示唆された. また, 特に人工栄養児において, 抗体陰性キャリアの存在が示された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1993-11-01
著者
-
高見澤 裕吉
獨協医大
-
高見澤 裕吉
千葉大学医学部産科婦人科学教室
-
稲葉 憲之
千葉大学医学部産科婦人科学教室
-
池田 和則
千葉大学医学部産科婦人科
-
高見澤 祐吉
獨協医大
-
高見沢 裕吉
獨協医大
-
高見澤 裕吉
獨協医科大学 産科婦人科
-
高見澤 裕吉
千葉大学医学部産婦人科
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