MRIによる子宮体癌筋層浸潤の判定および臨床進行期別診断
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概要
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近年, NMR (nuculear magnetic resonance)-CTが臨床応用可能となり, 婦人科領域の疾患に有用であるとの報告が多い^<1) 5) 7) 16) 18)>. 今回われわれは, 子宮体癌, とくに癌の筋層浸潤の程度の判定, 臨床進行期別診断におけるMRI (magnetic resonance imaging)の有用性を検討し以下の結論を得た. 1. 筋層浸潤の判定 筋層浸潤判定のため五つのパラメーターを設定した. (1) 腫瘍占拠面積比(transverse像), (2) 腫瘍占拠面積比(sagittal像), (3) 腫瘍占拠体積比, (4) 正常筋層の厚さの最小値, (5) 正常筋層の厚さの最大値最小値比. これらのパラメーターと術後摘出標本より得られた筋層浸潤の所見とを比較検討した. 筋層浸潤1/3以下と1/3〜2/3との間で, 推計学的有意差を示したのは, 正常筋層の厚さの最大値最小値比であった(p<0.05). 同様に1/3〜2/3と2/3以上との間では, 面積比(transverse像)がp<0.05で, 体積比がp<0.01で有意差を示し, 1/3以下と2/3以上との間では面積比(transverse像), 体積比ともにp<0.01で有意差を示した. 以上より筋層浸潤1/3以下の判定には, 正常筋層の厚さの最大値最小値比が, 2/3以上の筋層浸潤の判定には体積比が有用であると考えられた. 2. 臨床進行期別診断 臨床進行期別診断におけるMRIの正診率は, Ia期100%, Ib期83.3%, II期50%, III期100%であった. I・II期とIII期との鑑別は100%であり, 頚部浸潤の有無に関しては, sensitivity 100%, specificity 93.8%, positive predictive value 83.3%, negative predictive value 100%であった. 以上の結果より, MRIは, 子宮体癌の筋層内浸潤の判定・臨床進行期別診断に非常に有用な検査法であると考えられた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1989-07-01
著者
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高見澤 裕吉
千葉大学医学部産科婦人科学教室
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岩崎 秀昭
千葉大学医学部産婦人科
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高見沢 裕吉
千葉大学医学部産科婦人科
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岩崎 秀明
九段坂病院(共済)
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掛田 充克
塩谷総合病院(厚生連) 産婦人科
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掛田 充克
千葉大学医学部産婦人科講座
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竹本 大直
千葉大学医学部産科婦人科学講座
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赤嶺 正裕
千葉大学医学部産科婦人科学講座
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高見澤 裕吉
千葉大学医学部産婦人科
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