新たに樹立した妊娠性絨毛癌株(NJG)の性状ならびにその腫瘍マーカー産生能
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概要
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著者らは直接in vitro において継代可能な妊娠性絨毛癌細胞株の樹立に成功し、NJG株と命名した。培養経過では初代培養後1回のcloningで癌細胞の純培養系を得、現在は73代目を継代中であるが、安定した増殖を得るのに約3年を要した。本株細胞は大小不同の単一核を有するLanghans(L)細胞に類似した細胞が主体を占めてはいたが、多核細胞も多数認められた。また細胞配列はシート状で容易にpile upし、島嶼状に増殖した。更に電顕所見では細胞間に多数のdesmosomeが認められ、上皮性細胞の特徴を示した。本株の細胞生物学的特性は倍加時間80時間とslow growingで、染色体数は異数性に幅広く分布し、高3倍体付近にmodeを有し、しかも4本のmarker chromosomeが認められた。更にこの株より限界稀釈法によって単一細胞由来株を樹立したが、そのヌードマウス移植腫瘍は原株細胞移植腫瘍と同様、L細胞と少数のSyncytium(S)細胞が混在した原腫瘍と極めて類似した絨毛癌の組織像を呈した。このことからS及びL両細胞は同一細胞起源であることが強く示唆された。培養細胞及び移植腫瘍の各種腫瘍マーカー産生能を免疫細胞・組織化学的に検索した結果、hCG、胎盤蛋白であるPP_6、PP_7、PP_11は、頻度に差はあるもののin vitro、in vivoで陽性を示した。特にhCG陽性細胞は高頻度に認められ、移植腫瘍ではS細胞のみならずL細胞にも局在がみられたり、hCGの局在しないS細胞も観察された。また絨毛癌患者のfollow upに有用とされるSP_1は移植腫瘍で認められたが、その陽性細胞の頻度は低かった。なお絨毛癌では局在が欠如するとされているPP_5、PP_10、PP_12については、PP5は移植腫瘍でのみ少数の薄く染まった細胞が認められたが、PP_10、PP_12は全く局在が認められなかった。培養細胞と移植腫瘍の染色態度には類似性が認められたが、CEAのように培養細胞のみで明らかな陽性を示したものもあった。また原株細胞移植腫瘍と単一細胞由来株細胞移植腫瘍では、ほぼ一致した染色結果が得られた。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1987-06-01
著者
-
飯塚 理八
慶応義塾大
-
稲葉 憲之
千葉大学医学部産科婦人科学教室
-
青木 大輔
慶応義塾大学医学部産婦人科
-
塚崎 克己
慶応義塾大学医学部産婦人科
-
酒依 元子
慶應義塾大学産婦人科
-
久布白 兼行
慶応義塾大学医学部産婦人科学教室
-
酒依 元子
慶応義塾大学医学部産婦人科学教室
-
野澤 志朗
慶応義塾大学医学部産婦人科学教室
-
高山 泰子
慶応義塾大学医学部産婦人科
-
高山 泰子
日野市立総合病院産婦人科
-
宇田川 康博
慶応義塾大学産婦人科
-
青木 大輔
慶応義塾大学 医学部産婦人科学教室
-
宇田川 康博
慶応義塾大学 医学部産婦人科学教室
-
飯塚 理八
慶應義塾大学医学部産婦人科
-
飯塚 理八
慶慮大
-
野澤 志朗
慶応義塾大学 医学部 産婦人科
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