子宮腺筋症の診断における超音波経膣プローブの有用性に関する研究
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概要
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子宮腺筋症は月経困難,過多月経などの月経随伴症状,あるいは内診,電子工学機器(ME)による,子宮増大の所見などから診断されているが,一定の診断基準は未だ確立されていない。本研究では超音波経腟プローブによる子宮腺筋症の診断基準設定を目的として,子宮単純全摘術を施行した99症例(子宮腺筋症22例,子宮筋腫30例,両者合併32例,対照として子宮頸部上皮内癌15例)において,6.5MHz経腟プローブによる術前超音波所見と病理摘出標本を比較検討した。検討事項は,(1)子宮筋層の厚さ,(2)子宮内膜エコー,(3)子宮筋層の構造,および(4)局在病変の被膜,輪郭の4項目である。得られた経腟超音波所見をもとに子宮腺筋症の診断基準に関する点数評価(スコアリング)を以下のごとく設定した。すなわち,(1)子宮筋層の厚さ(0, 2, 4, 6点),子宮底部筋層>22mm,子宮体部筋層>28mm,子宮前後筋層比>1.4,はそれぞれ2点),(2)子宮内膜エコー(0〜3点;圧迫像1点,不整像2点,両者3点),(3)子宮筋層の構造(0〜5点;小胞像もしくは蜂巣状像が存在する場合,限局していれば1点,筋層の1/3以下に散在2点,1/3〜2/3は3点,1/3以上は4点,またその他の異常構造は非限局性であれば1点),(4)局在病変部の被膜,輪郭(0〜2点;被膜なし1点,被膜に不整,断裂像があれば2点)とし,0〜16点で評価した。5点以上を子宮腺筋症と診断した場合の診断効率は,感度87%,特異度95%,正診度91%であった。月経困難,過多月経の症状があり,子宮腺筋症の疑われる症例に経腟超音波検査を行い,本診断基準の臨床的有用性をプロスペクティブに検討した。その結果,子宮単純全摘術の適応となった17例中15例(88%)に子宮腺筋症が確認され,本診断基準の高い臨床的有用性が示された。
- 千葉大学の論文
- 1993-02-01
著者
-
稲葉 憲之
千葉大学医学部産科婦人科学教室
-
高見沢 裕吉
千葉大学医学部産婦人科
-
高見沢 裕吉
千葉大学医学部産科婦人科
-
高見沢 裕吉
千葉大学医学部
-
大久保 春男
船橋中央病院内科
-
大久保 春男
社会保険船橋中央病理
-
平井 真紀子
県立東金病院産婦人科
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