子宮内膜癌早期診断法の研究 : 特にrisk因子の解析と細胞診の意義
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概要
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子宮内膜癌早期診断法の確立を目的として内膜癌86例,内膜増殖症34例の臨床的risk因子,血中性ステロイド測定,細胞診及び内膜異型細胞像について検索し,次の結果を得た.1)内膜癌の年齢は45歳未満は3.5%と低率で50〜65歳が68.6%に達し,増殖症と比較すると5歳高齢化していた.2)主訴は不正出血が内膜癌96.5%,増殖症88.2%と高率であった.3)妊娠歴は内膜癌では不妊17.4%,米産20.9%,1回経産19.8%と不妊の傾向にあったが,増殖植症では認められなかった.最終妊娠からの年数では内膜癌で21〜30年後27.9%,11〜20年後17.4%と高率で10年以内は2.3%のみであった.増殖症では11〜20年41.2%,21〜30年35.3%,10年以内8.8%であった.4)内膜癌では閉経前20.9%,閉経後5年以内24.4%と更年期が45.3%,増殖症のそれは76.4%と共に高率であった.5)子宮腔長では8.Ocm以上の増大を示すものが内膜癌で36.O%,増殖症17.6%であった.6)内膜癌,増殖症の合併症はそれぞれ肥満61.4%,47.1%耐糖能異常63.1%,38.9%,高血圧28.O%,26.5%であった.7)血中性ステロイドの測定では内膜癌,増殖症,非癌群に有意の差は認めなかった.8)内膜癌,増殖症の部位別細胞診断率は疑陽性を含めてそれぞれ膣部36.5%,8.8%,頸管67.5%,20.6%,内膜84.3%,32.3%であった.9)内膜腺癌細胞形態の特徴は核増大,大小不同,クロマチン不均等分布,核小体著明出現であり,これらの所見は低分化型になるに従い著明化した.上記有因考をhigh riskgroupとして積極的に細胞診,内膜生検及び増殖症のfollow upをすることによって内膜癌早期診断の向上が期待される.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1984-06-01
著者
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高見沢 裕吉
千葉大学医学部産婦人科
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武田 敏
千葉大学医学部産科婦人科教室
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河西 十九三
千葉大学医学部産婦人科
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高見沢 裕吉
千葉大学医学部産科婦人科学講座
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高見沢 裕吉
千葉大学医学部
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武田 敏
千葉大学附属病院中検細胞診
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高見沢 裕吉
千葉大医学部産婦人科
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