視覚誘導性腕応答の視線移動に伴った実時間ゲイン更新
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概要
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上肢到達運動中に視覚運動刺激を提示すると,その刺激方向に不随意的かつ短潜時な腕応答(Manual Following Respose:MFR)が生じることが知られる.我々は先行研究で,到達目標位置に視線が向いている場合,向いていない場合に比べて,MFRが大きく誘発されることを明らかにした.このことは,腕応答の視覚-運動ゲインが上記関係性によって修飾を受けることを意味するが,到達運動課題のいかなるフェイズでゲイン設定は行われているかについては未解明である.ゲイン設定が腕運動計画時に終了するのか,あるいは運動遂行中にも実時間で更新されるのかを調べるために,本研究では運動遂行中の視線移動に伴うMFRゲインの変化を観察した.その結果,視線移動後の視線と到達目標の位置関係に応じて,MFRゲインが更新されることが明らかになった.さらに視線とは独立に空間的注意の向きを操作した状況で,MFR修飾を調べた結果,MFRゲインは注意の向きによらず,視線と到達目標の位置関係に応じて修飾されていた.これら結果は,到達運動中にも,視線と到達目標の関係性は常に計算され,かつその計算結果は実時間でMFRゲインを更新することを意味する.また,MFRゲインの設定と更新には,内的な注意移動だけでは不十分で,物理的な視線移動を伴った上で,到達目標との関係性がコードされることが重要であることが示唆された.
- 2009-03-04
著者
-
五味 裕章
Nttコミュニケーション科学基礎研究所:jst-erato下條潜在脳機能プロジェクト
-
五味 裕章
Ntt
-
安部川 直稔
Nttコミュニケーション科学基礎研究所
-
五味 裕章
NTTコミュニケーション科学基礎研究所
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