視線および到達目標の空間的関係性が視覚誘導性腕応答に与える影響
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概要
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上肢到達運動において,到達目標と身体各部位に関する位置情報は重要であり,それら関係性を統合することで運動軌道の生成,運動出力,フィードバック制御がなされている.随意運動生成過程における,空間情報の処理メカニズムについては,基準座標系の決定,座標変換の計算方法といった側面から多くの研究が行なわれてきた.一方,運動実行中に,視覚情報から不随意かつ短潜時の腕応答が生じることが知られ,反射性の実時間フィードバック制御という観点から着目されている.しかしながら,これら処理系においては,空間情報という観点からの計算メカニズムについて,未解明な点が多い.そこで本研究は,不随意な視覚-運動系に着目し,その処理過程において,到達目標と身体各部位の空間的関係性を処理するメカニズムの解明を目的とする.本稿では,背景視覚運動刺激によって,反射的に誘発される腕応答(Manual Following Response: MFR)に着目し,視線,背景視覚刺激,到達目標の位置関係がMFRに与える影響を調べた.その結果,1)視線と到達目標の位置関係が乖離するほど,腕応答の大きさは減少すること,2)背景視覚刺激と到達目標の関係性は,MFRに影響を与えないこと,が明らかになった.これら結果は,不随意な視覚-運動処理系において,その変換ゲインが,視線と到達目標の空間的関係性によって調節されており,またその調節機構は,視点中心で高くなるようなゲインフィールドモデルで説明できることを示唆している.
- 2006-11-28
著者
-
五味 裕章
Nttコミュニケーション科学基礎研究所:jst-erato下條潜在脳機能プロジェクト
-
五味 裕章
Ntt
-
安部川 直稔
Nttコミュニケーション科学基礎研究所
-
五味 裕章
NTTコミュニケーション科学基礎研究所
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