手先回転変換の変化速度は腕到達運動の学習戦略を変える

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視覚目標に対する到達運動学習では,視覚的に得られる手先位置情報の誤差が明確に認識されている中で運動が学習された場合と比較して,誤差が認識されていない場合のほうが大きな学習効果があると言われている.本研究では,このような学習効果の違いを生じさせる脳の運動学習戦略の変化について考察した.視覚的な手先位置に回転座標変換を加え,被験者に到達運動を繰り返し学習させた.手先回転変換を突然提示した場合,運動開始までの反応時間の上昇とともに,到達運動はほぼ直線的な軌道に収束した.一方で,手先回転変換を徐々に増加させた場合,反応時間の変化はなく,到達運動は曲がった軌道に収束した.このとき,手先位置の視覚情報を消すと,手先到達位置はターゲットから大きくはずれ,また,視覚摂動に対する手先応答を調べると,運動中の視覚フィードバックゲインが上昇していた.以上の結果から,大きな手先回転変換が突然加わると,主に運動計画が変化し,一方で手先回転変換が徐々に増加する場合,運動計画は変化せず,視覚フィードバック制御を含む到達運動のコントローラが適応することで,到達運動が達成されたものと考えられる.つまり,視覚-運動生成系の学習戦略は,手先回転変換の変化速度により異なることが示唆された.
2008-03-05

手先回転変換の変化速度は腕到達運動の学習戦略を変える

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