打撃動作における上肢筋制御メカニズムに関する考察

概要

論文の詳細を見る
外界と身体との関係がインタラクションする上肢動作においては,中枢から運動指令をフィードフォワードに送るような制御だけではなく,感覚器官から得られる情報を直接的で短時間に運動指令に変換するメカニズムすなわち反射系も含んだ制御が行われている可能性がある.本研究では,「打撃動作」を対象として上肢の筋制御の特性を調べた.マニピュランダムを用いて打撃対象物(仮想パック)を実現し,右から左への運動中において手先加速時および減速時の打撃動作を行わせ,その際の筋活動変化について調べた.その結果,減速時の打撃で仮想パックからの衝突力がない場合において,伸筋に随意的な応答よりも早い潜時での筋活動の上昇がみられた.また,仮想パックの重さを変化(重い,軽い)させて同一の摂動を与えた結果,特に伸筋において重い仮想パックの場合により大きな反射応答が見られた.これらの結果は,打撃動作において,打撃によって生じる筋への影響を加味した制御が伸筋でも行われている可能性を示唆している.
社団法人電子情報通信学会の論文
2004-03-12