外界ダイナミクスに応じた予測的スティフネス調整

概要

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外界とのインタラクションにおいて, 脳がどのような方略により腕を制御しているかという問題は, 運動生成のための脳計算理論を構築する上で重要な課題である.近年, 外界のダイナミクスに応じて, 合目的的に腕スティフネスが調整されていることが明らかになってきている.本研究では, マニピュランダムを用いて運動後半に安定/不安定力場を設定し, その力場に入る直前の腕のスティフネス変化について調べた.その結果, 安定な力場を設定した場合は, 2/4名の被験者において, 手先スティフネスが力場の安定方向に対して下がり, 不安定な力場を設定した場合には, 4/4名の被験者において, スティフネスが力場の不安定方向に対して上昇した.すなわち, スティフネスは力場の特性に応じて予測的に調整されていることを示唆している.また, 摂動により生ずる反射的筋活動変化を調べた結果, 非摂動の場合の最大筋活動と比較して最大4割程度変化していた.さらに, 反射による筋活動変化を手先力に変換したところ, 外界が不安定な場合に腕が安定化されるような力を生成することが示された.以上の結果は, 腕運動制御において反射による筋活動変化が外界ダイナミクスに応じたスティフネス調整に大きく貢献していることを示唆している.
2002-01-22

外界ダイナミクスに応じた予測的スティフネス調整

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