オンライン腕運動制御のメカニズム : 視覚運動座標変換の視点からの考察
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概要
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従来から,人は視覚到達目標の突然の移動に対して短潜時(<150ms)で腕運動を修正できることが知られているが,このオンライン腕運動制御を実現する脳の詳細な情報処理メカニズムは明らかではない.本研究ではこのメカニズムを視覚運動座標変換の視点から考察した.実験では,到達運動中に平面上の8方向いずれかへ視覚目標が移動する刺激に対する修正動作を,前半(潜時150-200ms)と後半(250-300ms)に分け,手先加速度応答が生じる方向を解析した.その結果,応答の前半成分は視覚刺激の方向からずれた方向へ生成されていた.一方で,応答の後半成分は刺激方向に近い向きに生じていた.次に,視覚目標が移動せずに到達位置の変更を指示する視覚刺激を用いると,修正動作の潜時は遅くなり,視覚刺激からずれた方向への応答は消失した.これらの結果から,オンラインでの腕運動の修正動作は,視覚目標の動きによって短潜時で誘発される空間的な精度の低い反射的な応答と,潜時は長いが空間的な精度の高い随意的な応答を生成する2つのメカニズムによって構成されていることが予想される.そして,脳はこの視覚情報に基づいた反射的な運動生成メカニズムを利用することで,素早く正確なオンラインでの運動修正を実現している可能性が考えられる.
- 2006-03-10
著者
-
五味 裕章
Nttコミュニケーション科学基礎研究所:jst-erato下條潜在脳機能プロジェクト
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五味 裕章
Ntt
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西條 直樹
NTTコミュニケーション科学基礎研究所
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西條 直樹
日本電信電話株式会社 Nttコミュニケーション科学基礎研究所
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五味 裕章
NTTコミュニケーション科学基礎研究所
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