ラット奇型腫誘発に関する実験的研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ヒト卵巣腫瘍の奇型腫の発生には, 卵巣ホルモンの影響が一因として考えられるが, 実験モデルとして妊娠12日目胎仔摘出により, ラつト奇型腫の誘発を行い, 同時に両側卵摘により卵巣ホルモンの誘発腫瘍に対する影響について検討した.Sprague-DawIey系雌ラつト46匹を(1)妊娠12日目に胎仔を摘出し胎児性腺を子宮外に引き出した群一胎仔摘出群(24匹), (2)同時に両側卵巣摘出を行つた群一胎仔摘出十卵摘群(22匹)にわけ, 各実験群につき20週及び40週後に屠殺し, 組織学的に検索した.腫瘍の発生頻度は胎仔摘出群で20週後12/17(70.6%), 40週後5/7(71.4%)であり, .胎仔摘出十卵摘群では20週後5/7(71.4%), 40週後11/15(73.3%)でほぼ同率であつた.転移を認めた群は胎仔摘出群のみで, 20週及び40週後各1例で, 腹腔内播種を呈しており, 組織像はyolk sac tumor類似組織であつた.腫瘍結節は直径2〜35mmで, 20週後では胎仔摘出十卵摘群が胎仔摘出群に比し, 腫瘍増大抑制傾向にあつたが, 40週後では両群に有意の差は認めなかつた.組織学的に腫瘍は三胚葉よりたる種々の組織を含み, 一部yolk sac tmor様組織と胎盤様組織がみられ, yolk sac tumor様組織が胎仔摘出群の20週で6例みられ, 他の群では減少傾向を示した.又胎盤類似組織は胎仔摘出群の20週にのみ2例みられ, 他の群にはみられなかつた.以上より誘発された奇型腫は卵摘により, yolk sac tumor様組織と胎盤様組織の発生抑制傾向にあり, 又20週における腫瘍の増殖をやや抑制Lており, 奇型腫の発生及びその増殖に対して, 卵巣ホルモンがその一因として影響している事が示唆された.
- 1981-03-01
著者
関連論文
- ラット子宮のエストロゲン依存性に関する特異的マーカーの検索 : 子宮ペルオキシダーゼ
- 28. 胚細胞腫瘍の分化能とマーカー物質
- 子宮頸部病変に対するレーザー療法
- 健常非妊娠,妊娠日本女性におけるCytokeratin Fragment 21-1 (CYFRA 21-1)値測定
- 尿中urinary gonadotropin peptide(UGP)の婦人科悪性腫瘍の腫瘍マーカーとしての臨床的意義 : 尿中ヒト絨毛性ゴナドトロピン(β-core fragment),CA 125及びSCCと比較して
- 新しい2種のサイトケラチン関連腫瘍マーカー,cytokeratin antigenとcytokeratin fragment 21-1の婦人科癌における臨床的意義
- 子宮内膜癌および前癌病変における内分泌環境の解析
- 胎児型チトクロームP-450の酵素免疫測定法の開発と腫瘍マーカーとしての臨床応用に関する研究
- Cancer antigen 54/61 (CA 54/61)の月経周期,妊娠,分娩に関する基礎的研究並びにその腫瘍マーカーとしての臨床的意義について
- HTLV-1母児垂直感染 : 特に遺伝子診断の有用性について
- 膵癌腫瘍マーカーCarbohydrate Antigen19-9(CA 19-9)が異常高値を示した卵巣類皮嚢胞腫の4症例
- 120.集団検診において内膜細胞診より検出された子宮体部腺癌の細胞学的検索とその有用性(婦人科9 : 子宮体部, 一般講演・口演, 第31回日本臨床細胞学会総会学術集会)
- 26.Senile atypiaと類似形態を呈する病変との細胞形態学的比較検討(婦人科7 : 診断, 一般講演・口演, 第30回日本臨床細胞学会総会・学術集会)
- 胎盤蛋白PP_に対するサンドイッチ酵素免疫測定法の開発とその産婦人科領域における意義
- 19. 子宮頚部扁平上皮癌におけるHPV-DNAの局在(子宮頸部II)
- 婦人科悪性腫瘍における腫瘍マーカー : TPS-TPA, CA125およびSCCと比較して
- Methotrexateによる絨毛癌培養細胞の形態変化に関する研究
- 子宮頸部前癌病変における koilocytotic atypiaの細胞,組織学的検討
- 子宮癌集団検診における koilocytotic atypiaの出現率について
- 絨毛性腫瘍に対する治療基準設定に関する研究
- 214. 子宮頸部腺上皮内癌の細胞像(第5報) : 腺異形成,腺癌との細胞比較分析(子宮頸部II)(第32回日本臨床細胞学会総会)
- 140. 子宮頸部腺上皮内癌の細胞像 : 第6報(子宮頸部I)(第32回日本臨床細胞学会総会)
- 52.in situ Hybridizationを用いた,子宮頸部腺上皮異型とHPV感染の研究(婦人科7:子宮頸部, 示説演題, 第29回日本臨床細胞学会秋季大会学術講演会)
- 36.子宮頸部腺上皮内癌の細胞像(第4報)腺異形成,腺癌との細胞比較分析(婦人科3:子宮頸部, 示説演題, 第29回日本臨床細胞学会秋季大会学術講演会)
- 腟欠損症(Mayer-Rokitansky-Kuster症候群)にS状結腸を利用した造腟術3例
- 先天性副腎***症候群の妊娠分娩例
- 異種結合系を用いた高感度 E_2-enzyme immunoassay(EIA)の開発と臨床応用に関する研究
- tamoxifenによる排卵誘発の試み
- 4. 急速進行性糸球体腎炎で発祥し,卵巣嚢腫切除時に偶然血管炎が確認された核周囲型抗好中球細胞質抗体(P-ANCA)陽性例(第59回千葉県腎疾患懇話会)
- 卵巣癌診断におけるCA54/61の評価 : 5施設の共同研究結果を中心に
- Hematoporphyrin誘導体とArgon Dyeレーザーによる腫瘍の光化学治療 : In vitroにおける基礎的検討
- In vitroにおけるcis-diamminedichloroplatinum II(Cisplatin)のラット卵巣腺癌クローン細胞株に対する殺細胞効果
- non-steroidal antiestrogensの抗腫瘍作用について
- 58. 子宮頸部扁平上皮癌における胎盤蛋白(PP_1, PP_2, PP_4, PP_, PP_, 及び SP_1, SP_3)の局在(婦人科5 免疫その2, 一般講演・口演, 第26回日本臨床細胞学会学術集会)
- 子宮頸部扁平上皮癌における胎盤蛋白PP5, PP10, PP12の局在
- 子宮頸部病変におけるHPV-DNAの局在と組織学的所見
- 34. 子宮内膜増殖症の細胞学的研究(婦人科10 : 子宮体部)(第30回日本臨床細胞学会秋期大会学術集会)
- 出生前に診断し得た全前脳胞症の1例
- 卵巣胚細胞性腫瘍の新しい血清学的診断 : 抗高分子糖ペプチド抗体の検出
- 胚細胞性腫瘍と抗F9抗体
- 子宮頸部生検組織におけるin situ hybridization法によるヒトパピローマウイルスDNAの検出と型同定 : Southern blot hybridization法との比較
- 155. 子宮頸部でのin situハイブリダイゼション法によるHPV DNAの型と細胞形態変化(子宮頸部IV)(第32回日本臨床細胞学会総会)
- 48.10年の経過観察中に発癌した子宮顕癌1例の細胞,組織およびin situハイブリダイゼーションによるHPV DNAとの関連性(婦人科6:子宮頸部, 示説演題, 第29回日本臨床細胞学会秋季大会学術講演会)
- 25.ヒト子宮頸部におけるHPV DNA の検出Southern blot法とin situハイブリダイゼーション法との比較(婦人科4 : 子宮頸部, 一般講演・口演, 第31回日本臨床細胞学会総会学術集会)
- ヒト,Cynomolgus胎盤,婦人科良性疾患,悪性腫瘍におけるCancer Antigen 130の免疫組織学的検索
- 卵巣悪性腫瘍における腫瘍マーカーCA125及びTPAの組織内局在と血中値相関に関する臨床的,基礎的研究
- 絨毛性疾患化学療法後妊娠の分析
- 産婦人科領域におけるCA130の有用性
- In vitro抗癌剤感受性試験に関する基礎的研究 : われわれの開発した核形法との比較
- 絨毛癌モデルにおける腫瘍血管新生因子に関する基礎的研究
- VP16-213(Etoposide)の絨毛癌に対する抗腫瘍効果についての基礎的研究
- 難治性絨毛癌に対する化学療法の基礎的臨床的研究
- In vitro における培養絨毛癌細胞株のAMBとAct-D併用による抗腫瘍効果増強に関する研究
- 本邦における外陰癌の発症ならびに治療の現況
- 卵巣類皮嚢胞腫の腺癌化が疑われた1症例 : 主として腫瘍マーカーの有用性について
- 胞状奇胎後管理基準の設定に関する研究
- 絨毛性疾患再発に関する研究
- 絨毛性疾患におけるHCG,HCGβ値による寛解判定基準に関する研究
- 実験的ラット卵巣腫瘍由来4クローン株細胞の分離と性状
- 8. 子宮頸部で多量のHPVを形成しin situ hybridization法によりHPV DNA 16/18型が検出された異形成の1例(婦人科3 : 子宮頸部)(第30回日本臨床細胞学会秋期大会学術集会)
- In situ hybridization法による子宮頸部擦過細胞におけるHPV DNAの検出
- ワII-3. 子宮頸部Mild DysplasiaとHPV(HPVと子宮頸部病変)(第32回日本臨床細胞学会総会)
- 23.妊娠細胞診の有用性についての検討(婦人科1:妊娠, 示説演題, 第29回日本臨床細胞学会秋季大会学術講演会)
- 42.子宮頸部adenoma malignumの1例(婦人科7 : 子宮頸部, 一般講演・口演, 第31回日本臨床細胞学会総会学術集会)
- 351.子宮頸部腺異形成のスクリーニング(第2報)(婦人科8 : 子宮頸部, 一般講演・示説, 第31回日本臨床細胞学会総会学術集会)
- 223. 術前細胞診より子宮非上皮性悪性腫瘍と診断した1例(婦人科7:子宮体部2, 一般演題示説, 第27回日本臨床細胞学会学術集会)
- 3.異型上皮の転帰と細胞診成績について(婦人科, 示説, 第20回日本臨床細胞学会総会抄録)
- 千葉県における子宮癌集団検診成績
- 子宮頸部ヒトパピローマウイルス(HPV)感染の細胞,組織学的検討
- ヌードマウス継代絨毛癌を用いた実験化学療法の臨床応用
- 薬剤抵抗性絨毛癌継代ヌードマウスを用いた実験化学療法
- ヌードマウス継代人絨毛癌組織の特性について
- 2種の絨毛癌細胞株の性格とMethotrexateに対する感受性
- 産褥性急性子宮内反症の3例 : 用手整復時全身麻酔の重要性について
- 新しい腫瘍マーカー,Cytokeratin Fragment 21-1 (CYFRA 21-1)の婦人科悪性腫瘍における有用性 : TPA及びCA 125と比較して
- 25.集検における内膜細胞診の有用性(婦人科7 : 診断, 一般講演・口演, 第30回日本臨床細胞学会総会・学術集会)
- 206.子宮頸部で細胞・組織・電顕的にクラミジア感染が確認された1例(婦人科5 : 子宮頸部, 一般講演・示説, 第30回日本臨床細胞学会総会・学術集会)
- 正常婦人と原発性不妊婦人の子宮内膜に於ける解糖系酵素活性の変動について
- 頚管粘液に於けるLDH活性の変動とその意義について
- 初期子宮頚癌治療基準の設定
- 肺転移率の異なるラット子宮腺癌由来の2クローン培養細胞における形態学的比較
- ヒト精液中の LDH isozyme pattern
- 子宮内膜癌発生ならびにNatural Killer細胞活性に及ぼすNeonatal Androgenizationの効果
- 7,12-dimethylbenz[a]anthracene誘発ラット子宮内膜腫瘍発生に及ぼすneonatal androgenizationの効果
- 子宮内膜癌発生に関する実験病理学的研究 : アンドロゲン不妊ラットを用いて
- 子宮内膜癌発生に関する実験的研究 : アンドロゲン不妊ラットの内分泌環境と子宮内膜癌の病理発生について
- 子宮内膜癌のhigh risk factorの解析 : 尿中性ステロイドの排泄異常
- 子宮内膜癌high risk factorの解析に関する研究 : 内分泌異常と子宮内膜機能失調
- 子宮内膜癌の自然発生に関する実験的研究
- 子宮内膜癌High risk因子の基礎的解析 : 実験的無排卵ラットにおける卵巣,子宮の機能および形態の異常
- 子宮体部横紋筋肉腫の剥離細胞像と核DNA量の測定
- 新しく開発したin vitro抗癌剤感受性試験(核形法)による卵巣癌の個別化化学療法成績
- 抗癌剤感受性試験と細胞形態(要望講演(III), 第29回日本臨床細胞学会総会・学術集会)
- クラミジア頸管炎の細胞像について
- 子宮付属器に発生した悪性腹膜中皮腫の1例
- 妊娠中毒症発症予知に関する研究
- 潜在性胎児仮死を疑われた1例Cardiotocogram (CTG)所見の解釈を中心として
- Hepatitis B Virus 母児間垂直感染における児carrier化予防に関する研究 : 特に受動・能動免疫併用療法について
- B型肝炎ウイルスの夫妻間感染に関する研究 : 時にHBsAg carrier妻より夫への感染について
- 実験的卵巣腫瘍の発生過程に於ける解糖系酵素活性の変動とそのアイソザイムパターンの偏倚に関する研究