絨毛性腫瘍に於ける乳酸脱水素酵素及びヘキソキナーゼアイソザイムについて
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概要
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胞状奇胎(奇胎),破壊性奇胎(破奇)及び絨毛上皮腫(絨腫)に於ける血清中ならびに組織中のlactate dehydrogenase(LDH)並びにhexokinase(H.K)アイソザイムを正常絨毛を対照として検索し,次の結果を得た. 1) 治療開始前の絨腫5例に於ける血清中総LDH活性値の平均は488±83I.U./lで,奇胎6例(241±25I.U./l)及び破奇13例(161±7I.U./l)と比較すると有意に活性の上昇が認められた. 2) 治療開始前の絨腫例に於て血清中総LDH活性値と尿中hCG値との間に明瞭な相関が認められたが,奇胎,破奇例に於てはかかる相関は認められなかつた. 3) 絨腫,破奇例に於て化学療法後血清中総LDH活性の一過性上昇を認めたが,寛解後血清中総活性値は正常範囲内に安定した. 4) 正常絨毛組織6例の総LDH活性値の平均値は335.2±57.1U/g Prot.,総H.K活性値の平均は32.1±7.8U/g Prot.であり,奇胎及び破奇例はこれに比べ低値を示し,絨腫3例では総LDH活性の平均値12.0±0.4U/g Prot.,総H.K活性の平均値1.5±0.8U/g Prot.と他の組織に比べて最低値を示した. 5) 組織中LDHアイソザイムパターンは正常絨毛,奇胎及び破奇ではM型に強い活性がみられると共にH型にもかなりの活性がみとめられたが,絨腫では特にM型へ移行する傾向がみられた.一方,H.Kアイソザイムパターンは絨腫で特にII型H.Kが著明で,他組織ではI型とII型が同程度に認められた.
- 1977-04-01
著者
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