外食産業における殼付卵及び加工卵利用
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概要
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日本の年間1人当たりの鶏卵消費量は世界2位である。その中において,家計消費以外の業務・加工用需要が増大し,その消費割合は45%に達している。しかし割卵割合は16%であり,その差29%は殼付卵として利用されている。このような背景においてユーザーとしてウェイトを高めつつある外食産業とはどのようなものであり,鶏卵に対するニーズはどのようなものか,その仕入れ,利用,そして今後の利用拡大がどう進むか等を検討することが本稿の目的である。方法としては,既存文献,資料等により外食産業の動向を明らかにした上で,外食産業で利用される卵の形態,仕入れ状況を知るために,外食産業を対象にアンケート調査を実施して集計結果を分析し比較,検討した。その結果としては次のようである。1)外食産業は,業界全体の今後の成長性については見解が分かれるものの,依然として世代交代,女性の社会進出,単身世帯の増加等,潜在的には食の外部化が一層進展する要素がかなりある。また,業種別には,最近における中食の急成長は,今後も続くものと予測される。2)外食産業での卵消費は,鮮度を重視した多頻度の仕入れが行われ,衛生状況等価格以外の要素が仕入れの選択においてかなり重視されている。また,外食産業が利用する鶏卵の形態は,依然として殼付卵主体であり,加工卵はまだそれほど浸透してはいない。半製品の利用はかなり多くみられた。3)中食,特に弁当業界では,一回調理規模の拡大に伴い,割卵作業の負担が大きくなり,液卵利用のメリットは増加している。狭義の外食(弁当・宅配等の中食を除く)では,依然として店舗単位の調理が主体である。チェーン店等では,仕入れが店舗分散型ではなく,本部集中型もかなり多い。セントラルキッチン等を活用した大量一括調理がなされるようになるとすれば,割卵作業の負担から液卵利用メリットが増加することも考えられる。また,狭義の外食から中食へのシフト,狭義の外食の中での従来型の小規模単独店舗からチェーン展開する大規模企業経営へのシフトは,いずれも殼付卵から液卵等への需要のシフトを増加させる方向に働く要因となるものと考えられる。4)現状では加工卵は未殺菌卵が多く,品質や衛生状況を重視する外食産業では扱いにくいと評価されていることによるものと思われる。今後,殺菌卵の供給体制が整うことに加えて,外食産業の側で,加工卵に対する適切な認識が普及すれば,さらに加工卵の導入は進んでいくと思われる。今後は,その動向を見極め,これら業界の需要に応えることが重要である。
- 岐阜大学の論文
- 1997-12-26
著者
-
杉山 道雄
Gifu City Women's College
-
杉山 道雄
岐阜大学農学部
-
荒幡 克己
岐阜大学農学部
-
小栗 克之
岐阜大学農学部
-
堀 伊都留
岐阜大学農学部生物生産システム学科
-
小栗 克之
岐阜大学大学院連合農学研究科
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