スリランカの養鶏産業の発展と農村養鶏の重要性

概要

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本研究の目的は,スリランカの養鶏産業の現状を分析し,とくに農村養鶏の存立条件を明らかにすることである.スリランカの養鶏部門は,全畜産部門の中でも最も高い成長率を示したが,これは商業的部門での増大に基づいている.農村養鶏は農村発展計画の中で力強い方策として提示されている.従来の自給養鶏に代わり,現在,商業養鶏はハイブリッド鶏であり,鶏卵,鶏肉の大部分は,農村商業的養鶏の生産によっている.農村養鶏,すなわち,卵肉供給の存在理由は,1)国内における滋養性に富む鶏卵・肉を供給するばかりでなく,2)農村の女性や若者の雇用を増加させ,安定した所得をもたらす.鶏糞利用は購入肥料に代わり,環境問題を解決する.その結果,鶏卵消費は1人当たり,1981年の31個から1995年に58個と増大し,鶏肉消費も,1981年の0.19kgから1995年に1.5kgと増大し,食肉消費量の中で鶏肉の占める割合は,17%から50%に増大し,2000年には5kgに増大すると予測される.このように増大した背景には,KFC,ゴールドコイン,カーギル社のような国際企業(MNCs)の,国内養鶏産業への参入と推進力が大きい.外国資本の導入による,フードシステムにおける川上部門(飼料部門)を基軸としていることが特徴である.
1998-12-26