豚肉の流通構造と段階別価格形成に関する経済的研究

概要

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豚肉は,昭和62年度の食肉総需要量の42%を占め,蛋白供給に対し重要な役割を果たしているが近年,輸入量の増加や家庭内消費量の減少により需給バランスが崩れ,その生産量は年々減少し,我が国の肉豚生産は伸び悩んでいる。そこで本研究の目的は,国内外の肉豚事情の現状を把握した上で(1)国内流通構造,(2)そこでの段階別価格形成について検討し,(3)流通面での課題と今後の方向を考察することを目的とした。既存の関連文献,研究報告等で肉豚生産の現状を把握,また都市近郊産地として典型的な愛知県を選び各所での面接調査により愛知県の流通構造と段階別価格形成を調査した。我が国の養豚業は食肉需要の増大を背景に年々規模を拡大し,経営形態も小規模な繁殖・肥育経営から大規模一貫経営が主流となった。しかし,飼養頭数300頭以下の小規模経営が依然全国シェアの30%を占めているのが現状で,今後さらなる規模拡大のためにはこのクラスの経営の対応が重要なものになろう。流通構造では,昭和56年と昭和61年の変化をみると以下の2点が指摘できる。第1は市場外流通の拡大が認められることである。この要因としては卸売市場の基本的機能(集荷・建値形成機能)が弱体化したことや食肉センターの充実,部分肉流通の増加等が考えられる。第2はと畜場からの搬出業者のうち加工業者の取扱頭数割合が増加していることで,これは加工品需要の増大を反映している結果である。愛知県は都市近郊型産地で大消費地が近いため加工仕向割合は低い。段階別価格形成については,生体販売価格38,226円の肉腫が枝肉価格40,150円,部分肉価格42,282円,精肉販売価格55,719円と計算される。精肉売上総額の内訳は,生体価格66%,諸経費5.9%,加工業者マージン3.8%,小売業者マージン24%と小売マージンが高い割合を占め,生産段階でのコスト低減が反映されにくくなっているのが現状である。副産物流通とその価格形成の課題を残したが,それが加われば一頭当たり小売価格はさらに拡大するだろう。
岐阜大学の論文
1990-12-25

豚肉の流通構造と段階別価格形成に関する経済的研究

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