肉用牛生産・流通の段階別価格形成に関する研究 : 愛知県での乳用種肥育の事例研究

概要

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愛知県で肉用牛の生産は約5万頭で,そのうち乳用種肥育牛は2万5千頭である。その生産費は約45万円で全国と比較すると労働費と飼料費が高いのが特徴である。流通状況は愛知県で生産された子牛約1万頭が県内で肥育される子牛,素牛として約1万5千頭導入される。肥育牛総頭数約2万5千頭のうち約40%が大阪に出荷され,県内へは約30%しか残らない。これは大阪で乳用種肥育牛の枝肉取引価格,内臓などの副産物価格が高いことや消費量が名古屋の2倍近く,と関西での食肉需要が高いためである。また,愛知県内の牛肉消費量は年間約1万9千tであり,その約40%が県内で屠畜されるが県内産の牛(含和牛)は20%にすぎない。つまり,愛知県は牛肉の生産県であり消費県であるが県内ではほとんど他県の牛肉か,Uターン牛肉を消費していることになる。次に各生産流通段階別価格形成をみると,肥育段階での低コスト化が進められてはいるが,枝肉以降の小売段階では1頭当たりの価格は急激に上昇する。この原因は,(1)流通段階での流通形態が生体・枝肉・骨つき部分肉・部分肉・精肉と変化する。(2)それに伴い流通担当者が代わる。(3)交錯輸送が多い。(4)乳用種と肉用種の区別も不明確で,良質乳用種肉も和牛肉として販売される,などである。ここに,価格形成に問題点が残されている。流通段階の合理化は,枝肉・部分肉・精肉への処理過程の統合化(食肉処理包装センター),的確な品質表示,それに伴う価格形成が必要である。
岐阜大学の論文
1989-12-25

肉用牛生産・流通の段階別価格形成に関する研究 : 愛知県での乳用種肥育の事例研究

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