鶏卵流通圏からみた鶏卵供給のあり方
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概要
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養鶏産業を取り巻く国内外環境は大きく変化しつつある。そのため,養鶏経営は赤字経営におかれており,またWTO体制下で国際競争を強いられている。現在,消費地への鶏卵供給は近郊及び遠隔地から行われている。そして,鶏卵の流通は地域毎に流通圏を形成している。小論の目的は各流通圏の特徴を把握し,今後の鶏卵生産の方向を検討することとした。そのため,第1に農林水産省の畜産物流通統計の都道府県別出荷量及び入荷量の状況から鶏卵の流通圏を設定した。第2に設定された各流通圏別採卵鶏羽数の状況から地域別需給状況と規模別羽数状況をみた。第3に東西両市場(東京市場及び大阪市場)の各地域からの入荷状況を把握して流通圏内外からの入荷量をもとに市場の安定性を検討し,第4に地域別・サイズ別価格形成の特徴をみた。最後に強制換羽実施後の卵について検討した。その結果は次のようである。1)九州流通圏は関東流通圏及び関西流通圏の不足分を補う形で増羽している。2)流通圏外からの入荷が多いほど市場は不安定である。3)流通圏外からの入荷が多いほど価格は低位水準を維持し,サイズ別価格差は拡大する傾向がある。このため,鶏卵の生産は流通圏内で行われるのが全生産者の平均的収益のためにも消費者の要望のためにも望ましいことと思われる。消費者の信頼を得るための消費者とのコミュニケーション,消費者の要求に対する情報収集などのために,鶏卵の販売は地域を中心にデーワン地域(産卵後1日以内に配送できる地域)である流通圏内で行うことが望ましい。なお,現在消費者が求めているのは新鮮・安全なおかつ高品質である。
- 1996-11-28
著者
-
杉山 道雄
Gifu City Women's College
-
杉山 道雄
岐阜大学農学部
-
小栗 克之
岐阜大学農学部
-
小栗 克之
岐阜大学大学院連合農学研究科
-
趙 訓
慶北大学
-
趙 [ヨウ]訓
岐阜大学農学部生物生産システム学科
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