地域農業における堆肥センターの役割とその運営

概要

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清見村は岐阜県飛騨盆地の中心高山市の隣に位置する山村である。肉牛の繁殖・肥育,酪農などの畜産と,高冷地野菜の生産が最近伸びており,特に畜産は村の農業粗生産額の70〜80%を占めるに至っている。昭和38年に三ッ谷地区の畜産農家8戸が集まって肉牛の育成組合を作り,そこで共同で育成した牛の肥育を個別で行うというシステムを作り上げて実績を示したとき以来,牛の頭数は急速に増大し,昭和49年には畜産公害問題が発生した。地区の畜産農家は行政との連携を取りながら,補助事業によってコンポストセンターを建設し,公害の源泉である家畜糞尿を堆肥化し,それを地区の高冷地野菜作農家に廉い価格で提供し,トマト,ほうれん草,スイートコーンの生産基地を作り上げた。ここで廉い価格を実現できた理由は,堆肥の一部を緑化材として土建部門に販売したためであり,ここで生み出された収益の村内還元による地域農業の振興と,コンポストセンターの運営の健全化は同様の施設をもつ他の町村に多くの示唆を与えるものといえるであろう。
1990-12-25