立地からみた農協の経営構造比較
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概要
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は,目的に即し,I農協共同活動の成果報告書,G農協業務報告書を基に比較・検討した。両農協の事業別事業高をみると,I農協では販売事業が総事業高の60%を占めており,信用事業,購買事業の順である。G農協では信用事業が平成2年現在76%を示して事業の大部分を占めており,その伸びにおいても他の部門とはかなり差がある。各事業別にみると,まず,購売事業ではI農協の場合,購買収入高が微少ではあるが年次増加をみせており,科目別には生活購買64%程度を占めている。G農協の場合は,購買事業高は年次減っていく傾向である。それは農業外部門との競争が激しいため,生活,生産部門での購買事業高が減ったためである。第2に販売事業においては,両農協の販売額の格差はだんだん広がっている状況である。正組合員1年1人当り利用高では,I農協が207万円であるのに対し,G農協が30万円とI農協の約1/7の水準にとどまっている。これは農産物の共販率がI農協では88%であるのに対し,G農協では35%と低いためである。第3に信用事業においては,I農協は遠隔地に位置するため人口の増加は余りなく,そのため組合員の増加は見込まれず,現在の組合員を相手に金融事業を展開しなければならないため、その実績が停滞している。他方,G農協は資金力を高めるために貯金量を増やすことを目的として合併が行われたため,貯金星は相当高い。それに准組合員の増加により,貯金量の伸び率も高い。遠隔地農協であるI農協では,生産組織活動が活発であり,購買活動においても,多角的に農協を運営して組合員の生活に密着した活動を行っている。販売においては「セット販売」などで販売高を高めており,購買,販売といった経済事業に重点をおいて経営を行っている。都市近郊農協であるG農協は都市的地域に位置するため,農協外部門との競争が激しいし,農業基盤か弱いため信用事業を中心に経営を行っている。
- 1992-12-25
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