農家の後継者・花嫁不足問題 : 岐阜県の農村を中心としたアンケート調査結果による分析

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わが国の農村・農家では,農業労働力の減少,特に農村青年の流出により,農業後継者及び花嫁問題が深刻化している。そのため,各地で対策が講ぜられているが,それを解決するに至っていない。本稿の目的は農村・農家における経営者,その妻,あとつぎがどのように考えているか,また花嫁となるような若い女性がどのように考えているか,その意識を調査することにより,その問題に迫ろうとしたものである。そのため,岐阜県の数ヶ市町村の農村地域を選び,既婚男性111人,既婚女性74人,独身男性32人,都会側の独身女性167人にアンケート及び聞き取り調査を実施した。その結果,次のようにいえる。第1に,農家の結婚にみられる近年の傾向として,夫婦間の年齢格差の縮小,恋愛結婚の増加,通婚圏の拡大(市町村内から市町村外へ)がみられる。また,嫁ぐときに「両親に反対された」人も若い世代ほど多かった。第2に,農家側の意識として,自分の息子と嫁に対する農業従事への希望の違いがみられた。親達は自分の息子には農業への従事を希望する反面,娘に対しては必ずしもそうではない。しかし,嫁に対しては農業への従事を希望している。第3に,都会側の独身女性の意識(結婚観)として,単に高所得を望むというより,両親との別居を含む完全なサラリーマン型家族を望んでいた。しかし,年収や不動産等の経済的条件も重視している。第4に,後継者の定着条件としては年収の高さ,若者の交流による活性化,花嫁の確保,経営権の早期委譲等が必要である。第5に,花嫁確保の条件としては年収の高さ,財産の相続,農家の嫁に対する月給制など経済的条件,両親との別居を可能にする二世帯住宅,定期的な休日,趣味やスポーツ活動を可能にする農村の文化・運動施設の整備等が必要である。
1991-12-25

農家の後継者・花嫁不足問題 : 岐阜県の農村を中心としたアンケート調査結果による分析

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