GPセンターにおける加工卵製造と今後の展望
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概要
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近年,家庭における殼付卵の消費量の伸びは停滞しているが,外食産業や業務用の加工卵消費量は大きく伸びている。他方,ここ数年来,食中毒の原因としてサルモネラ菌の急増が,わが国をはじめ先進国で注目され,その菌は卵の加工品から検出されることが多い。そこで,衛生管理を中心とした加工卵製造における問題点を解明し,今後の展望を明らかにすることを目的として,加工卵製造の拠点となるGPセンターを中心にアンケート調査を行なった。その結果,次の諸点が明らかとなった。(1)卵を入荷して割卵するまでの間,鶏卵を常温のまま保管しているところが3割以上あった。加工卵の品質を悪化させないため,完全冷蔵保存(8℃以下の低温室)が望まれる。(2)GPセンターでの加工卵種類別製造量割合は,生全卵が多く(87%),凍結全部が若干ある(13%)。分離卵はGPセンターではみられず,液卵加工専門業者に多くみられた。なお,GPセンターでの加工卵は殆ど未殺菌であり(93%),殺菌卵はわずか7%にすぎなかった。(3)GPセンターで製造された加工卵の主な販売先は製菓・製パンが中心であるのに対し,液卵加工専門業者はマヨネーズ原料向けが多く,両者の棲み分けがみられる。(4)現在,卵の価格を決める相場には,殼付卵の状態での新鮮卵相場しか存在しない。そのため,液卵の販売価格は殼付卵の相場を参考に各GPセンターや液卵加工専門業者によって独自に価格が形成され,ばらつきがみられる。(5)将来的には,液卵の規格化やそれらの品質に見合う適正な価格形成のため,液卵相場を形成していくことも検討課題になろう。
- 岐阜大学の論文
- 1997-12-26
著者
-
杉山 道雄
Gifu City Women's College
-
杉山 道雄
岐阜大学農学部
-
荒幡 克己
岐阜大学農学部
-
小栗 克之
岐阜大学農学部
-
小栗 克之
岐阜大学大学院連合農学研究科
-
三品 和也
岐阜大学農学部生物生産システム学科
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