ミカン・リンゴの需給構造及び価格に関する計量分析
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概要
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本稿の目的は,我が国の代表的果実であるミカンとリンゴを対象に,その需給構造及び価格を定量的な側面から分析し,両者の特質を比較することである。分析の方法は,統計データを集計,整理するとともに計量経済モデルを構築し,弾力性等の定量的な把握を行なった。分析の結果,以下の結論が得られた。需給構造をみると,どちらも戦後著しく生産が拡大したが,その後の調整過程において両者の対応は異なっていた。ミカンは,供給過剰に伴う価格の暴落が発生し,これに対して生産調整で対応した。一方,リンゴは,消費の高級化という流れに,基幹品種を高品質化することで対処し,価格を維持した。また,両者の出荷にも相違がみられた。ミガンは,生産が早生種にシフトし出荷期が前倒しされた。一方,リンゴは,晩生・早生種の増加によって出荷が平準化された。価格の季節変動をみると,リンゴ価格の変動係数は,ミカンのそれよりも小さく,リンゴ価格の方が安定的であった。ただし,ミカン価格の変動係数は年々低下しており,かつてみられた大幅な価格の季節変動は,ある程度収束する方向に向かっていることがわかった。出荷,価格変動の季節性を更に分析するため,弾力性分析を季節ごとに行なった。1979年〜1996年の18年間の月次データを用い,四半期別に需要の所得及び価格弾力性を推定した。価格弾力性は,リンゴが季節を問わず非弾力的であったのに対し,ミカンは端境期の4月〜6月に弾力的で,他の季節は非弾力的であった。所得弾力性は,リンゴが季節を問わず上級財であったのに対し,ミカンは端境期及び早生種の出荷期である4月〜9月のみが上級財であったものの,10月〜3月の収穫期は下級財となった。
- 岐阜大学の論文
- 2000-12-25
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